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「翻訳会社って、今も必要なの?」 そんな疑問を持ったことはありませんか?
ペーパーレス化やDXが進む現代、機械翻訳の精度も飛躍的に向上し、誰もが簡単に翻訳できる時代になりました。しかし、それでもなお翻訳会社が求められる理由があるのです。
そこで今回から、シリーズ形式で、入社3年目の若手社員である私たちが社内の様々な専門家―エキスパート―たちにインタビューを実施し、みなさまにお届けします。
翻訳会社だからこそ提供できる価値、そして会社の魅力とは?翻訳業界の未来を切り拓く挑戦について、じっくり掘り下げていきます!
このメンバーでお送りします。





本日は、多言語のスペシャリスト・吉野さんにお越しいただきました!よろしくお願いします!
吉野さんは去年まで営業として活躍されていましたが、新設された「多言語翻訳推進室」に今年から異動されました。今日は言語について、いろいろ伺いたいと思います。
よろしくお願いします!

まずはアイスブレイク!多言語国家・イランを旅して

まずはアイスブレイクとして、吉野さんが学んできた言語についてお話を伺いたいです。確か100以上の言語を勉強されているとか…?
最近数えてみたら、勉強した言語は170くらいありましたね。とはいえ、一般的な語学学習とはちょっと違っていて、僕は文法や構造など、言語の“仕組み”に興味があるんです。


170!! つまり、話す・聞くよりも、言語の構造を分析するということなんですね。
そうです。単語を覚えたり話したりするより、どういう文法体系なのかを知るのが好きなんです。


中には、私たちが聞いたこともないような言語もあるんですか?
そうですね。例えば、中央アジアのカラカルパク語、アラスカの海岸ツィムシアン語、アフリカのンドンガ語など、かなりマイナーな言語も含まれています。


そんなマイナーな言語はどのように学習されるんですか?
基本は本や論文ですね。でも教材がない言語もあるので、そういう場合は音声資料や文献を探して、自分で文法を分析することもあります。


そういえば、以前旅行にも行かれていましたよね?それも言語が目的ですか?
そうですね。実は少し長めのお休みをいただいて、1週間ほどイランに行ってきました。
イランって、公用語はペルシャ語なんですが、実はアゼルバイジャン語を話す人が人口の約2割もいるんです。他にもクルド語やアルメニア語など多様な言語が話されていて、言語的にとても興味深い国なんですよ。古代ペルシャ語で書かれた楔形文字の碑文なんかも見に行きました。



旅の中で苦労されたことはありましたか?
たくさんありました(笑)。イランは経済制裁や政治体制の影響で、日本からホテルの予約ができなかったり、現地のネット接続が制限されていたり。英語もあまり通じないので、宿探しや移動はかなり大変でした。町の移動にバスで10時間以上かかったこともあります。
大変でしたが、実際に目で見て耳で聞くことで、これまで調べていたことがリアルになった感覚です。古代の言語が刻まれた石碑を目の前にしたときは、文化遺産としての重みを感じました。



まさに“言語を旅する”って感じですね。

yoshiNote - 多言語翻訳を探求する 株式会社サン・フレア
170言語を操る吉野さんが語る「言語の魅力と仕事への活かし方」

営業活動で言語の知識が役立ったことってありますか?
ありますよ。以前は営業をしていたんですが、お客様へ言語の特徴を細かく説明できたり、珍しい言語の話題になると盛り上がるんです。興味を持ってもらえて、距離が縮まることもありました。


今は営業から異動されてどのような仕事をされているかお伺いできますか?
はい。今年4月から「多言語翻訳推進室」という新設部署に異動しました。多言語案件の売上拡大や付加価値の創出を目指して、業務の効率化と標準化、言語資料の整備、品質保証など幅広く担当しています。言語プレゼンスの向上にも取り組み、最終的には「言語といえばサン・フレア」と言われるような存在になれたら嬉しいですね。


確かに、翻訳業界って一般にはあまり知られていないですもんね。
そうなんです。翻訳をもっと身近に感じてもらえるようにしたいですし、サン・フレアは90以上の言語に対応しているので、それ自体が大きな強みです。


僕たちが運用しているXでも吉野さんが考えてくださった言語クイズを使わせてもらっていますが、出題する側にもかかわらず回答に苦戦しています…(笑)
あれはイベント用に作ったもので、選択肢は似た言語を並べて、ちょっと迷うようにしているんですが…実は中級でも正答率が1〜2割しかなかったことも(笑)


でも、言語の面白さを伝えるにはいい方法だと思うので、これからも不定期開催できればと思います!
言語のプロ・吉野さんが語る「翻訳の未来とAIの限界」

吉野さんから見て、当社の多言語対応の強みってどこにあると思いますか?
まず、専門性と柔軟性ですね。特にヨーロッパには公的な資格や認定がありますし、海外リソースであっても調査力や責任能力を持った方を起用します。多言語だからこそ人手による判断や調整を重視して、人材活用の最適化を図っています。


多言語になると、お客様側でチェックができないという声をいただくことがありますがどのように品質を保証しているんですか?
品質保証の基本は多重チェックですが、多言語でも翻訳者任せにはしません。ネイティブの目や独自基準の校正を入れ、工程ごとに作業指示の遵守や懸念点を確認し合います。工程設計や言語別のスタイル標準化も重要です。社内で多数の言語を確認できる体制があり、納品時は必要に応じて、訳文の意図や解釈を説明するようにしています。


それはお客様にとっても安心ですね。
そうですね。「しっかり読んで訳してくれているんだな」と思ってもらえるような工夫は大事です。


最近は機械翻訳も進化していますが、多言語の面だとどうでしょうか?
英語⇔日本語はかなり精度が上がってきましたが、多言語はまだ発展途上ですね。特に訳抜けは多いですし、タイ語やミャンマー語などでは、文字や記号の使い方がおかしいことすらあります。


英語以外の言語を機械翻訳にかける際の注意点はありますか?
言語をある程度知っていなければ、訳抜けや誤訳、不自然な点に気付くことは難しいです。AIは流暢なので、自身で確認できない言語ほど危険というのが僕の見解です。

「言語の違いと現場での対応力」

ふと思ったんですが、例えばポルトガル語は地域によって言語のニュアンスも変わってくると思うのですが…。
※ポルトガル語はポルトガルやブラジルで使用されますが、地域により表現や語彙が変わります。当社ではご依頼いただいた際に、使用地域のヒアリングを行っています。
そうですね。実際、お客様から「ポルトガル語でお願いします」とだけ言われることも多いんですが、言語の地域差や使われ方は様々ですし、だからこそ営業側の説明責任があると思っています。

ちなみに、スペイン語と中国語なども地域によって区分しています!
スペイン語 | 欧州スペイン語 | スペイン本国 |
中南米スペイン語 | メキシコ、アルゼンチンなど | |
中国語 | 簡体字 | 中国本土、シンガポール、マレーシア |
繁体字 | 台湾、香港、マカオ |
翻訳会社の社会的価値とは?

多言語面で吉野さんの考える翻訳会社としての価値って、どこにあると思いますか?
多言語対応は、グローバルビジネスにおいて非常に重要です。英語以外の言語になると、お客様自身が理解できないことも多いので、そこを専門的にサポートできるのが翻訳会社の価値です。


まさに「言語のパートナー」ですね。
そうですね。お客様に寄り添い、信頼される存在でありたいです。翻訳は人が行うものですし、サン・フレアだからこそ、提供できる価値があり、翻訳会社としての責任と価値をしっかり果たしていきたいと思っています。


自身も営業として、言語の知識を日々蓄えていきたいと思います!
本日は貴重なお話ありがとうございました!
ありがとうございました!

言語の専門知識は、営業にとっても大きな武器になると実感しました。お客様との会話で信頼を築くには、言語の違いや文化的背景を理解し、的確に説明できる力が必要です。翻訳の品質を支えるのは、営業の丁寧なヒアリングと橋渡し力。言語を通じて、お客様と翻訳チームをつなぐ役割の重要性を改めて学びました。