「翻訳会社って、今も必要なの?」 そんな疑問を持ったことはありませんか?
ペーパーレス化やDXが進む現代、機械翻訳の精度も飛躍的に向上し、誰もが簡単に翻訳できる時代になりました。しかし、それでもなお翻訳会社が求められる理由があるのです。
そこで今回から、シリーズ形式で、入社3年目の若手社員である私たちが社内の様々な専門家―エキスパート―たちにインタビューを実施し、みなさまにお届けします。
翻訳会社だからこそ提供できる価値、そして会社の魅力とは?翻訳業界の未来を切り拓く挑戦について、じっくり掘り下げていきます!
このメンバーでお送りします。




本日は第4弾として人材開発部のIさんにお越しいただきました。よろしくお願いします!
よろしくお願いします!


今日はお菓子まで持ってきていただいて、ありがとうございます!(チョコレートをいただきましたっ)
甘いものが好きで、普段からよく食べてますね。最近の一押しは「かるかん」です。そういえば、「世界のお菓子ブログ」も見ましたよ。ベトナムのココナッツクラッカーおいしそうですよね。今度見つけたら買ってみます。


見ていただいてありがとうございます!
翻訳者と会社の“橋渡し”役とは?

普段人材開発部の方とお話しする機会がないので、今日は楽しみにしていました。
そもそも、どういった経緯で人材開発部でのお仕事に携わっているんですか?
もともとはゲーム会社に勤めていたんです。そこからスタートして、やりたいことを追い続けていたら、いつのまにか翻訳会社にたどり着いていました。


ゲームですか!
ゲーム会社の出版部門で、攻略本の編集をしていました。当時はゲームの攻略本がベストセラーランキングに入るほど売れていたんですよ。その後、出版社やサイトの運営会社、健康保険関連の会社などを経て、翻訳業界に飛び込んだ感じですね。


ゲーム業界から出版、そして翻訳会社まで…すごいキャリアですね!様々なジャンルを横断してきたからこそ、見えるものもありそうです。
そうですね。人材開発部では主に翻訳者のみなさんのサポートをおこなっているのですが、いろいろな業界、人と関わってきたからこそ、それぞれの経歴、環境に合わせたサポートがとても大切だと日々実感してます。


今は翻訳者のマネジメントを担当されているそうですね。具体的にどんなお仕事ですか?
翻訳者のみなさんの手助けになるようなことを全般的におこなっています。たとえば、面談をして、興味のある分野、得意な分野を聞いたり、スキルアップの相談に乗ったり。案件とのマッチングもしますし、必要があれば評価やフィードバックも担当します。勉強会やセミナーの企画もしますよ。


まさに“架け橋”のようなお仕事ですね。
そうです。翻訳者の生産性が上がれば、社内の効率も、お客様満足度も上がる。つまり社会貢献にもつながるんです。


翻訳者との面談って、年にどれくらい?
人材開発部では、新規登録された方、既存登録の方を含めて、年間で100名以上の翻訳者との面談を実施しています。専門分野の調査を兼ねて経歴をお伺いすることが多いのですが、意外な経歴の方が多くて面白いですよ。翻訳関連のお仕事や語学に携わっていた方ばかりでなく、まったくの異業種からの転身組も多いですし。
ただ、どんな経歴をお持ちの方でも、ほとんどの方が「身に付けたものを社会に還元したい」「日本の産業を支えたい」というお話をしてくれます。その熱意には応えたいですね。

AI時代でも“人”が必要なワケ

サン・フレアには、翻訳者が6,000人も在籍していますが、最近はAI翻訳も普及していますよね?改めて人の力が必要だと思う場面はありますか?
もちろんAIは便利ですが、ほとんどの翻訳案件はそれだけではカバーできません。商品価値のある翻訳は、ただ異なる言語に置き換えていくものではなく、背景知識、文脈、読み手を総合的に判断、理解して作り上げていくものだからです。そもそも、AIだけで賄える案件なら、お客様もわざわざ翻訳会社には発注しませんしね。“翻訳”って、まだまだ人の仕事です。


業種・業態に関わらず、様々な翻訳者の方がいるのは強みですね。
そうなんです。だから、どんなに専門性の高い分野、ニッチな分野でも対応できるんですよ。「こんな翻訳できる?」って言われても、だいたい「できます」って返せる。その実績がお客様からの信頼にもつながってます。


営業の私たちにとっても、とても心強いです。
顧客も多彩、だからこそ求められる翻訳力

翻訳者の開拓はどのようにおこなっているのですか?
採用チームが別にいて、営業サイドから「こういうスキルの人が欲しい」とリクエストすれば、開拓してくれます。その後、私たちが面談して翻訳案件とのマッチングをおこなう。地道な連携で翻訳の現場を支えているんです。


お客様から翻訳者のプロフィールを求められたとき、経歴や対応実績をまとめた資料を作成してくださったのは大変助かりました。お客様が「なかなか専門的な人がいっぱいいるんですね」と感心してくださったのは今でも覚えています!

ずばり、語学力が高ければ翻訳者になれますか?
もちろん言語力も大事ですが、翻訳のスキルに加えて、コミュニケーション能力も必須です。翻訳の現場ってチームプレイですからね。お客様の意図をくみ取ったり、関係者と連携しながら動く力も求められます。


なるほど。“一人で黙々とやる仕事”というイメージは違うんですね。
そうなんです。自分が訳したいように訳すのではなく、お客様の要望を踏まえた翻訳をおこなうことが大事です。必要があれば、お客様のゴールに合わせて、言い回しを変えることもある。その柔軟性こそがプロの翻訳者に求められる資質だと思っています。


自分の“やりたい翻訳”ではなく、“求められる翻訳”をおこなうということが大事なんですね。
また、どんな仕事もそうですが、自己研鑽への強い意欲も求められます。産業翻訳は、常に新しい技術と向き合っていく必要があります。技術が進歩すればするほど、翻訳者もその知識を常にアップデートしなくてはいけません。新聞や書籍を読むだけでなく、実際に最先端技術を学びに外国へ足を運ぶ翻訳者もいるくらいです。専門分野の最新情報や業界の動向を把握するだけでなく、翻訳を効率よくおこなう翻訳支援ツールの使い方なども日々学び続けなければなりません。


AI翻訳が増えてきた今、翻訳者に求められるものも変わってきていますか?
まさにそこが難しいところです。AI翻訳のハードルが下がったことで、最近MTPEの相談も多くいただくようになりましたよね?
MTPE時には、誤訳や翻訳の良し悪しを見抜いて修正する判断力が必要。しかしそれは一見簡単そうで、実は経験とスキルがものを言う作業なんです。特にプロとしてデビューしたばかりの方、翻訳者を目指して学習中の方にそれを身に付けていただくにはどうしたらよいかは大きな課題ですね。

※MTPEについて詳しく知りたいという方はインタビュー第2回をご覧ください!

当社は90言語以上の言語対応が強みですが、多言語対応の中で、特に印象に残っているエピソードはありますか?
そうですね、「南米スペイン語ができます!」という翻訳者に依頼したことがあったんですが、納品後にお客様からクレームをいただいたことがありました。詳しくお話を伺ってみると、お客様が想定していたスペイン語と、翻訳者が使っていたスペイン語が微妙に違っていたんです。


なるほど。同じ「南米スペイン語」といっても、お客様のイメージしていた地域と翻訳者が使っていた言葉にズレがあったんですね。
そうなんです。スペイン語って、地域によって表現やニュアンスがかなり違うんですよ。だからこそ、最初のヒアリングでしっかりと確認することがとても大切なんです。

未来の翻訳者へメッセージ

最後に、これから翻訳者を目指す方に一言お願いします。
語学力だけでなく、柔軟な対応力・学び続ける姿勢・チームで動く力が求められます。プロとして活躍したいなら、“伝える力”と“読み取る力”の両方を磨いていきましょう。
みなさんと一緒に働ける日を楽しみにしています。


貴重なお話ありがとうございます!これからは翻訳者に関しても自信を持ってアピールできそうです!


本日はありがとうございました!
ありがとうございました!

AIが進化する今だからこそ、翻訳者の「人間力」がますます重要になっています。語学力だけでなく、柔軟性、専門性、そしてチームで動く力。それらを備えた翻訳者が、世界と日本をつなぐ架け橋となっていることを今回学ぶことができました。