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若手3年目がインタビュー!知的財産分野とMTPE(機械翻訳ポストエディット)の現状~未来について

目次

  1. まずはアイスブレイク!多忙な祐介さんの趣味とは?
  2. MTPEとは?翻訳の未来を語る
  3. お客様との認識ギャップにどう向き合うか?
  4. 提案がハマった瞬間のやりがい
  5. MTPEや生成AIの提案が増えてきた中で、今後の展望は?
  6. 若手へのメッセージ
  7. 未来を翻訳するのは、私たち自身!

若手3年目がインタビュー!知的財産分野とMTPE(機械翻訳ポストエディット)の現状~未来について

「翻訳会社って、今も必要なの?」そんな疑問を持ったことはありませんか?
ペーパーレス化やDXが進む現代、機械翻訳の精度も飛躍的に向上し、誰もが簡単に翻訳できる時代になりました。しかし、それでもなお翻訳会社が求められる理由があるのです。
そこで今回から、シリーズ形式で、入社3年目の若手社員である私たちが社内の様々な専門家―エキスパート―たちにインタビューを実施し、みなさまにお届けします。
翻訳会社だからこそ提供できる価値、そして会社の魅力とは?翻訳業界の未来を切り拓く挑戦について、じっくり掘り下げていきます!

このメンバーでお送りします。

小川:美白命
曹:おちょこまん
祐介:ワーカホリック
今回からピンマイクを導入しました!ちょっとわくわくしています
今回からピンマイクを導入しました!ちょっとわくわくしています

まずはアイスブレイク!多忙な祐介さんの趣味とは?

今回取り上げるのはMTPE(機械翻訳ポストエディット)についてです。祐介さん、本日はよろしくお願いします!

お願いします!

恒例のアイスブレイクタイムです。趣味はバドミントンとお聞きしましたが、最近も続けていらっしゃるんですか?

もちろんです!今週も練習がありますし、7月には試合も控えているんですよ。

試合というと、一般の大会ですか?

そうですね。例えば渋谷区の大会など、所属している団体で出場できるものに参加しています。高校時代の部活仲間とチームを組んでいて試合後は呑みに行くのが恒例ですね(笑)。

これまでで一番誇れる成績は?

中学校3年生の最後の大会で、個人戦(ダブルス)で関東ベスト8に入りましたし、団体戦では全国大会に出場した経験もあります。あれが一番の成果ですね。

文武両道だ!

いつも多忙な祐介さん。休みの日もアクティブでした(汗)
いつも多忙な祐介さん。休みの日もアクティブでした(汗)

MTPEとは?翻訳の未来を語る

さて、ここからは本題のMTPEについてお伺いします。最近、業界でも注目されていますよね。

MTPEとは「Machine Translation Post-Editing」の略で、機械翻訳した文章をプロの翻訳者がレビュー・修正(ポストエディット)し、より良い訳文に仕上げるプロセスのこと。機械学習の一分野である深層学習技術の進歩に伴い機械翻訳の精度が向上することで2017年頃から業界で本格的に注目され始めました。

祐介さんは知財分野のお客様を担当されることが多いかと思いますが、MTPEをどのように活用されていますか?

知財の外国出願(特に明細書の翻訳)には非常にコストがかかります。以前は予算の都合で翻訳できなかった文書も、MTPEに適した文書に活用することでコストを抑え、より多くの文書を外国出願できるようになりました。これはお客様にとってコスト削減に直結するため非常に喜ばれます。

逆に、MTPEの課題や注意点は?

大きく2つあります。1つは教育の問題。MTPEを使うには、翻訳の良し悪しを正確に見極める力が必要ですが、それは通常、過去の実務経験にを通じて養われます。したがってMTPEが増えることで新たに翻訳者を目指す方に、その能力をどうやって養ってもらうのかは大きな課題です。また、提案する立場で考えるとお客様にどのように説明するのが適切な活用に繋がるのか社内で絶えず最新の情報を教育していくのも課題です。
もう1つは品質の不確実性。機械翻訳はどんな出力になるか予測ができません。人間であれば間違わない箇所でも機械は間違う可能性があるので、従来の品質保証とは異なる視点で考えて対応していくかが問われます。

営業の立場から「翻訳会社は今後どうなるの?」と聞かれたら、どう答えますか?

翻訳会社はこれまでも「言語を単に変換する=翻訳する」だけの存在ではありませんでした。翻訳のみならず、企業のビジネスを円滑に進めるための翻訳を目指してきたからです。一方でAIの技術的な進歩に伴い存在意義が問われているのは事実です。私見ですが「翻訳会社」という名称では本来の価値を十分に伝えきれないかもしれません。だからこそ、機械翻訳や生成AIを含めたITツールを使いこなし、ドキュメントを扱う専門家としてそれぞれのビジネスシーンで最適な手段を提案できる存在として自らを認知、変革していく必要があると考えています。翻訳市場自体は拡大しており、まだ翻訳されていない文書は山ほどあります。だからこそ、翻訳会社としての役割はむしろ重要になっていると感じます。

少し話が逸れますが、MTPEに関する情報って、普段どこからキャッチアップされているんですか?

いろんな方法がありますよ。書籍で学ぶのも一つですし、セミナーへの参加も欠かせません。あとは業界団体ですね。たとえば、ATIS技術情報サービス協会という団体では「特許翻訳分科会」というワーキンググループで、機械翻訳や生成AIについて意見交換を積極的に行っています。

お客様との認識ギャップにどう向き合うか?

お客様と話す中で、機械翻訳について聞かれることも増えてきましたよね。

そうですね。ただ注意が必要なのは、お客様にとって「翻訳会社に依頼する=MTPEを希望している」とは限らないということです。実はお客様の社内で機械翻訳を試してうまくいかなかったから、翻訳会社に外注しているケースも多いんです。

なるほど、そこに認識のズレがあると。

そうなんです。もしその背景を知らずにMTPEで納品してしまうと、「期待外れ」と思われてしまう可能性もある。だからこそ、営業のヒアリング力が重要なんです。お客様の本当のニーズを引き出して、最適な提案をすることが求められます。

提案がハマった瞬間のやりがい

実際にMTPEを提案して、うまくいった事例ってありますか?

ありますよ。あるお客様は「MTPEを使いたい」とおっしゃっていたんですが、よくよく話を聞くと「コストを抑えて効率的に翻訳したい」というのが本当の目的だったんです。
そこで、重要な文書は人手で翻訳し、それ以外はMTPEで対応するというハイブリッド提案をしました。その提案により全体の品質とコストのバランスを最適化できました。

まさに営業の腕の見せどころですね!

そうですね。別のケースでは、同じようにMTPEを希望されていたお客様に対し、定期的に翻訳が必要で文書の特性として繰り返しの表現が多い内容だったので、翻訳メモリ(蓄積された翻訳データ)を活用することで品質を担保しつつコストの両立が可能と提案しました。あくまでもMTPEは手段であっても目的から考えるとわざわざ利用して品質リスクを負う必要はないことを理解していただき、結果的にお客様に満足いただけた案件でした。

やはりセミナーに出ているだけあり、ピンマイク慣れしていますね
やはりセミナーに出ているだけあり、ピンマイク慣れしていますね

そういえば祐介さんは講演や執筆活動もされていると伺いました!

はい、昨年は対外向けに2回セミナーを行いました。1つ目は、関西知的財産協議会と大阪の発明協会の共催による講演で、「機械翻訳と生成AIの違い」について話しました。参加者は主に知財実務者の方々で、技術の特徴や使い分けのポイントに焦点を当てました。
2つ目は、技術情報協会主催の「AI、生成AIによる知財業務の効率化、スピード化」セミナーです。私は「外国出願における機械翻訳と生成AIの効果的な利用方法」というテーマで登壇しました。 そのセミナーをきっかけに、複数の専門家が集まり知財×AIの最新動向をまとめた書籍「“知財DX”の導入と推進ポイント」を執筆する機会にも恵まれました。私の担当は「機械翻訳と生成AI」についてです。
先日の4月30日に発売されました!

営業、管理職、執筆、社外活動……どうやって全部こなしているんですか?

正直、自分一人でできているわけではありません。周囲の方々や部下の皆さんに支えてもらっているのが大きいです。
あとは、プロジェクトマネージャー時代に培った「優先順位のつけ方」と「段取り力」が活きています。私生活でも、外出時に移動ルートや休憩場所まで事前に考えておくタイプです(笑)。

確かに、食べるのも早いですよね(笑)

はい、そばは飲み物です(笑)。でも、誰かと一緒のときはちゃんとペースを合わせますよ!

MTPEや生成AIの提案が増えてきた中で、今後の展望は?

生成AIは今後、絶対に外せない要素になります。自分たちの業務の効率化に役立つだけでなくドキュメントを扱うプロの専門家としてお客様の課題解決にどう活かすかがカギです。知識だけでなく、実際に手を動かして体感することが、提案の説得力につながります。

若手へのメッセージ

最後に、私達若手社員へ一言アドバイスをお願いします!

社会人3~4年目は、仕事が一番楽しくなる時期。だからこそ、今どれだけ挑戦できるかが、10年後の自分を大きく変えます。
翻訳会社の中だけで完結せず、外の世界にも目を向けてほしい。生成AIやMTPEのように、業界は大きく変わっています。翻訳会社のなかで完結せずに、汎用的なビジネススキルを身につけてほしいですね。

採用面接も担当されていますが、どんな人と一緒に働きたいですか?

一番は「好奇心」がある人。お客様の言葉や行動の背景を深掘りできる人は、営業として大きく成長すると思います。

自分も成長できるよう頑張っていきたいと思います!本日は貴重なお話をありがとうございました!

こちらこそ、ありがとうございました。これからも一緒に頑張っていきましょう!

未来を翻訳するのは、私たち自身!

機械翻訳や生成AIの進化が加速する今、翻訳会社の存在意義が問われる時代に突入しています。しかし、どんなに技術が進化しても、「お客様第一として、最適な手段を提案する力」は我々にしかできない価値です。

今回のインタビューを通じて、MTPEという技術の可能性だけでなく、それを活かす“翻訳会社”の重要性を改めて感じました。
翻訳の未来を切り拓くのは、ツールではなく、それを使いこなす私たち自身です。

次回も、翻訳業界の最前線で活躍するエキスパートに迫ります。どうぞお楽しみに!

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MTPEから人手翻訳までどんなことでも、ご相談ベースで構いませんので、お気軽にお問い合わせください。

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