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『外国人技能実習制度』がついに変わる!新たに見直される新制度とは?

目次

  1. 『外国人技能実習制度』の見直しがついに決定!
  2. 『技能実習制度』とはどんな制度なのか?
  3. 『技能実習制度』の問題点
  4. 見直しに当たっての基本的な考え方
  5. 現制度を発展的に解消し、名称も『育成就労制度』へ
  6. 『育成就労制度』でサン・フレアができること

『外国人技能実習制度』の見直しがついに決定!

これまで外国人の技能実習生の人権が十分に尊重されていない、など多くの問題が指摘されてきた『外国人技能実習制度(以下、技能実習制度)』。
2022年12月より開催されてきた『技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議』において、現制度を見直すために施行状況や課題が洗い出され、外国人材の適正な受け入れ策が検討されてきました。そして、2023年11月30日、約1年にわたる議論を経て、同会議にて取りまとめられた最終報告書が関係閣僚会議の共同議長である法務大臣へ提出され、『技能実習制度』が正式に見直されることが決定しました。
これにより、ようやく制度の見直しに向け、一歩踏み出したことになります。

『技能実習制度』とはどんな制度なのか?

まず、今回の話題に触れる前に、この『技能実習制度』とはどんな制度なのか、そして、どんな問題を抱えているのか、簡単に振り返っておきましょう。

今から遡ること40年以上前の1982年1月、『出入国管理及び難民認定法』の改正に伴い、企業単独型による外国人研修生の受け入れが開始されました。
これに伴い、それから約10年を経た1993年4月、『我が国で培われた技能、技術又は知識の開発途上地域等への移転を図り、当該開発途上地域等の経済発展を担う「人づくり」に寄与することを目的として』、この制度が創設されました。この制度を司る『技能実習法』には、この制度が『国際協力という制度の趣旨・目的に反して、国内の人手不足を補う安価な労働力の確保等として使われることのないよう』にと明記されており、基本理念においても、
① 技能等の適正な修得、習熟又は熟達のために整備され、かつ、技能実習生が技能実習に専念できるようにその保護を図る体制が確立された環境で行わなければならないこと
② 労働力の需給の調整の手段として行われてはならないこと
と定められています。
以上からも分かるように、この制度の根幹には“人材育成を通じた海外への技術移転”、更には“我が国の国際社会への貢献”という明確な“大義”があった訳です。
ところが、創設から約30年を経て、この制度を巡り様々な問題が生じるようになりました。

※この制度の詳しい沿革については「外国人技能実習機構」のウェブページで紹介されています。
https://www.otit.go.jp/info_seido/

『技能実習制度』の問題点

まず、受入企業側の問題から見ると、技能実習生に対する“人権侵害”に関する問題が挙げられるでしょう。企業側(=雇用側)が技能実習生を単に安価な労働力として見なし、低賃金、残業代の未払い、長時間労働を強い、更には暴力を振るうなど、この制度の“大義”や“基本理念”とは異なる実態が一部報道で明るみに出たことを記憶されている方も少なくないと思います。
厚労省の2022年の調査によれば、実に約72.6%を超える事業場において労働基準関係法令の違反が認められており、こういった実態から制度見直しへの動きが加速したと言えます。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_27067.html

一方、技能実習生側の問題で見ると、技能実習生が“失踪する”、“犯罪に加担する、または関与する”といった問題などが挙げられるでしょう。
その理由としては、上記のような過酷な労働環境が背景となっていることに加え、現行の制度において、技能実習生は原則3年間、勤務先を変えられないという『転籍』に関する要件が大きな“足かせ”となっていたことが挙げられます。『転籍』の要件が厳しいが故に、技能実習生らが逃げ場を失い、結果として失踪してしまう等々。昨年の失踪後、不法滞在となった技能実習生の数が9,000人を超えるというのですから驚きを隠せません。

また、これに加え、仲介する監理団体の技能実習生に対する監理や支援が不十分であった事例などもあり、これら問題の要因となっていると指摘されています。

見直しに当たっての基本的な考え方

先述の有識者会議で取りまとめられた最終報告書の前段には、『見直しに当たっての基本的な考え方』が記載されています。これは、いわば新制度の根幹であり、大前提と言えます。
この中で、我が国の人手不足の深刻化に対して、もはや外国人材の確保は不可欠であると明言された上で、現行の制度における問題点を踏まえ、『国際的にも理解が得られ、我が国が外国人材に選ばれる国になるよう、三つの視点(ビジョン)に重点を置き、見直す。』と書かれています。具体的には以下が掲げられ、その上で、新たな制度を創設するものとされています。

① 外国人の人権が保護され、労働者としての権利性を高めること
② 外国人がキャリアアップしつつ活躍できる分かりやすい仕組みを作ること
③ 全ての人が安全安心に暮らすことができる外国人との共生社会の実現に資するものとすること

現制度を発展的に解消し、名称も『育成就労制度』へ

では、具体的にどのように現行の制度が見直されるのでしょう。

最終報告書には『現行の技能実習制度を発展的に解消し、人材確保と人材育成を目的とする新たな制度として創設』すると書かれています。つまり、これまでの国際貢献という観点から決別し、深刻化する我が国の人手不足解消のための策として位置付けられ、経済的なメリットをもたらす制度でもある、ということが明文化されたことになります。

更に、“足かせ”となっていた「転籍」の要件についても『「やむを得ない事情がある場合」の転籍の範囲を拡大・明確化し、手続を柔軟化』するとし、これに加え、同一機関での就労が1年を超えた場合等の一定の要件の下、『本人の意向による転籍も認める。』としたことは、今回の新制度の重要なポイントであり、前進した策と言えるでしょう。

また、名称も『技能実習制度』から『育成就労制度』に変更される予定とのことで、改めて仕切り直すという姿勢が見えてくる印象です。

ここでは詳細についての言及は割愛しますが、法務省のウェブページ上でこの最終報告書を見ることができますので、興味のある方はこちらをご覧ください。
最終報告書 https://www.moj.go.jp/isa/content/001407013.pdf
最終報告書(概要) https://www.moj.go.jp/isa/content/001407012.pdf

なお、この新制度については、今後の国会で法律として改正・制定される予定です。実際に運用が始まるのは1年程度先になると見込まれますが、それを見越し、受入企業や監理団体のみなさんはこの新制度に対する準備を進めていく必要があるでしょう。

『育成就労制度』でサン・フレアができること

技能実習生を受け入れるに当たり、“言語”が障壁になることも少なくありません。
翻訳会社サン・フレアでは、これまで技能実習生の受入企業、監理団体から各種翻訳のご依頼をいただいています。例えば、

・送出国側で作成された技術実習生に関する情報(現地語で書かれたテキストを和訳)
・雇用契約書(駐日フィリピン共和国大使館海外労働事務所が用意している、英文の雇用契約書様式の内容を確認するための和訳)
・受入企業での就業に伴う各種文書(日本語で作成されている各種文書を技能実習生の母国語に翻訳)
など。

言語については「英語」「中国語」はもちろんのこと、技術実習生の母国語である「ベトナム語」「インドネシア語」「タガログ語」「クメール語(カンボジア語)」「ビルマ語(ミャンマー語)」「タイ語」といった東南アジア言語も数多く取り扱っています。

今後も引き続き、多言語翻訳が強みである当社ならではの翻訳ソリューションを提供し、その上でこの新制度の運用に貢献していく所存です。新制度が円滑に運用され、すべてのステークホルダーにとっての最適解となることを心から期待して止みません。

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