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海外投資家に向けてIR情報の英文化が必要な3つの理由

目次

  1. 海外投資家に向けてIR情報の英文化が必要な3つの理由
  2. 海外投資家が求める英文化されたIR情報とは
  3. IR情報を英文化する場合の3つの注意点
  4. IR情報の英文化は翻訳会社に依頼するべき

海外投資家は国内の上場企業に対して、IRInvestor Relations)情報の英文化を求めています。実際にIR情報の英文化と海外への情報発信を促す動きが活発化していますが、なぜ英文化や情報発信が必要なのでしょうか。本記事では海外投資家に向けてIR情報の英文化と発信が必要な理由と、英文化する場合の注意点について解説します。

海外 投資家に向けてIR情報の英文化が必要な3つの理由

海外投資家に向けたIR情報の英文化や情報発信が必要な理由は次のとおりです。
・他社との差別化を図れる
・サステナビリティへの関心が高まっている
・海外投資家の存在感が増している

他社との差別化を図れる

他社との差別化を図れるというのが、海外投資家に向けてIR情報の英文化が必要な理由です。
プライム市場に上場している企業の90%は何らかのIR資料を英訳しています。一方、他の市場に上場している企業のうち、開示書類を英訳している企業はそれほど多くありません。
また、海外投資家は有価証券報告書や株主総会の招集通知、コーポレート・ガバナンス報告書などの情報を求める傾向にありますが、プライム市場上場企業がこれらの情報を英訳するケースは少なく、需要と供給にミスマッチが発生しているのが課題となっています。

他にも、IR情報の英文化を実施しているものの、英訳した情報が分かりづらいといった事例もあります。
これは日本語の文章を単に英訳したものや、本来必要な情報を削った英語情報になっていることが原因と考えられます。
このように、現時点において海外投資家に有益な情報を英文化して発信する企業が圧倒的に少ない状況です。

海外投資家が求める情報を翻訳して発信すれば、他社との差別化を図れるという大きなメリットを享受できます。

サステナビリティへの関心が高まっている

サステナビリティへの関心が高まっているのも、IR情報の英文化・発信が必要な理由です。
ESG情報(Environment、Social、Governanceの英語の頭文字。企業の環境、社会、ガバナンスに関する情報)の開示を求める海外投資家の割合が多く、今後はESG情報の英文開示の動きが活発化されると見られているためです。
国内外でESG投資(ESG投資とは、環境、社会、ガバナンスに対する取組みへの評価から投資先を選別して投資をすること)が広がりはじめており、特に日本国内ではESG投資の市場規模が急拡大しています。
環境や社会に配慮したビジネスを展開し、かつガバナンスにも優れている企業は、ESG課題を解決できる技術・サービスを社会に提供できるため、企業価値の向上へと繋がります。
つまり、ESGへの取組みが投資先の選別材料となるため、ESG情報の英文開示が重要になるのです。

東京証券取引所が発表した海外投資家へのアンケート結果によれば、約6割の海外投資家がESG報告書の英文開示を必須または必要と考えていることが分かっています。また東京証券取引所では、サステナビリティへの取組みや情報開示に関する原則を新設し、2022年からは企業のESG関連情報を一元的に配信するWebサイトを開設するなど、ESG情報の発信を促進しています。
今後はESG情報の英文開示がより求められるようになると予想されるため、IR情報に加えてESG報告書の英文化が重要になるでしょう。

海外投資家の存在感が増している

海外投資家の存在感が増している状況であることも、IR情報の英文化・情報発信が必要な理由です。海外投資家の要請が、国内企業の情報開示の方向性に影響を与えているためです。
東京証券取引所が発表しているデータから、海外投資家による日本国内の株式保有比率は2020年度時点で30%を超える状況にあることが分かっています。

主要投資部門別株式保有比率の推移
引用:2020年度株式分布状況調査の調査結果について 主要投資部門別株式保有比率の推移
https://www.jpx.co.jp/markets/statistics-equities/examination/nlsgeu000005nt0v-att/j-bunpu2020.pdf 

売買動向でも、海外投資家による金額の比率が年々増しており、海外投資家による株式保有比率は今後さらに増加すると見込まれます。
コーポレート・ガバナンスの改定が海外投資家の要請の影響によるものであることや、海外投資家が必要な情報の英文化を求めていることから、企業はIR情報の英文開示に真摯に取り組むことが必要です。海外投資家に選ばれる企業になるためには、海外投資家が求める情報の開示やIRサイトの再構築が必須です。その一歩となるIR情報の英文化や発信は、海外投資家へのアピールとなるでしょう。

海外投資家が求める英文化されたIR情報とは

東京証券取引所が20218月に発表した英文開示に関する海外投資家へのアンケート調査結果によれば、英文開示を必要とする資料について必須(Essential、英文開示がない場合は投資しない)または必要(Necessary、英文開示を必要としている)と回答されたのは次のとおりです。

英文開示に関する海外投資家アンケート調査結果
引用:英文開示に関する海外投資家アンケート調査結果 2021年8月株式会社東京証券取引所 上場部
https://www.jpx.co.jp/corporate/news/news-releases/0060/nlsgeu000005r5tq-att/nlsgeu000005r696.pdf

決算短信や有価証券報告書に加え、IR説明会資料、適時開示資料に関しては、海外投資家の7割以上が英文開示を求めていることが分かります。
海外の機関投資家は、リアルタイムでの投資判断の材料となる決算短信や適時開示資料、IR説明会資料の英文開示を求める割合が高くなっています。

IR情報を英文化する場合の3つの注意点

IR情報を英文化する場合、単純な直訳では読み手に伝わらない情報になる恐れがあります。IR情報を翻訳する際は、次のポイントを押さえることが重要です。
・海外投資家が求める情報の英訳が必要
・日本語と英語の違いを理解する
・日本と海外の前提の違いを理解する

海外投資家が求める情報の英訳が必要

IR情報を英文化する場合は、海外投資家に伝わる英訳が必要です。日本企業による海外投資家への情報開示は、企業の都合で発信されるケースが多い傾向にあります。言い換えれば、海外投資家に「伝えたいこと」だけを発信している状況です。
そのため、日本語版サイトよりも情報の要素が少なくなりやすく、海外投資家が知りたい情報が含まれていない可能性があります。

英文化された情報開示を実施する場合は、決算短信や有価証券報告書、IR説明会資料、適時開示資料など、海外投資家が求めている情報を網羅することが重要です。
企業の都合だけで発信内容を決めるのではなく、海外投資家に伝わるような情報量や内容にする必要があるでしょう。

日本語と英語の違いを理解する

IR情報を英文化する場合は、日本語と英語の違いを理解しなければなりません。
日本語は動詞がメインで、文章が長くなりやすいという特徴があります。そのため、日本語の情報をそのまま英訳すると、海外投資家にとって理解しにくいものとなる傾向があります。
また、IR情報は単純な英訳ではなく、情報同士を比較しやすいよう翻訳を工夫することも必要になります。

そのためには、次の2点が重要です。
・米国証券取引所が推奨するシンプルで比較しやすい翻訳
・英語が母国語の方だけではなく、第2言語が英語の方にも分かりやすい名詞メインの翻訳

シンプルで比較しやすい翻訳では、同じような言い回しを避ける他、他社と比較できる数字や言葉を使うことが重要です。また英語が母国語ではない方にも理解しやすいよう、名詞を中心に端的に伝わる翻訳が求められます。
IR情報を英文化する場合は、理解しやすい英訳を意識することが大切です。

日本と海外の前提の違いを理解する

IR情報を英文化する場合は、日本と海外の前提の違いを理解することも重要です。
海外の機関投資家は、投資先の情報を得るために、はじめに決算短信を閲覧し、内容に興味を持ったら統合報告書へと推移する傾向にあります。
つまり、決算短信が英文化されていない、もしくは英文化されていても内容が理解できない場合、統合報告書まで閲覧してもらえない可能性が高いのです。

海外投資家へのアンケート調査結果にもあるように、まずは決算短信の英訳に尽力するのが効果的といえるでしょう。
また、決算短信を英訳する場合は、海外の一般的な決算短信の構成を理解することも大切です。海外の決算短信では、経営者による財務や経営成績の分析の項目にあたるMD&A(Management's Discussion and Analysis of Financial Condition and Results of Operations)が充実しています。MD&Aの内容が箇条書きで記載されていることに加え、重要指標や環境について手厚く述べる、といった構成になっているのが一般的です。投資家は自分が気になる指標や情報を簡単にチェックできるため、効率的に情報を収集できます。
海外投資家の情報収集の傾向と、シンプルで理解しやすい海外の決算短信の構成を参考に、自社の決算短信を英訳すること、分かりやすい情報として開示することが必要です。

IR情報の英文化は翻訳会社に依頼するべき

IR情報を英文化する場合は、実績のある翻訳会社に依頼しましょう。IR情報の翻訳は、日本語の情報の単純な英文化ではないからです。
IRに関連する情報やESG報告書に対する高い理解力と知識、海外投資家に分かりやすく伝わるための構成などが必要になります。

IR情報の英文化に対応できる人材が自社内におらず、リソースを割くことも難しいのであれば、信頼できる翻訳会社にアウトソーシングするのが賢明です。ただし、幅広い業種・業態のIR情報を翻訳するスキルが高く、実績が豊富な業者や翻訳者を選ぶ必要があります。

IR情報の英文化ならサン・フレアに

IR情報の翻訳はサン・フレアにお任せください。50年に渡って培ってきた実績と翻訳ノウハウで、様々な企業のIR翻訳をサポートしています。問い合わせに対するレスポンスや仕上がりの早さはもちろん、過去の資料との用語・表現の統一にも対応可能です。

翻訳後はネイティブスピーカーによるチェックや専門分野に詳しいチェッカーによるクロスチェックと校正をおこない、日本語での意図を汲み取った上で英文をブラッシュアップします。
また、当社は情報セキュリティマネジメントシステム・品質マネジメントシステム、翻訳サービスの国際規格を取得しています。厳重なセキュリティ環境を確保しながら、正確性や速報性、読みやすさを兼ね備えた、質の高いIR翻訳を提供可能です。
海外投資家に情報が適切に伝わるIR翻訳をお求めなら、お気軽にサン・フレアまでお問い合わせください。

今回は海外投資家に向けてIR情報の英文化と発信が必要な理由、英文化する際の注意点について解説しました。
海外投資家の存在感が増している現在、求められる情報を適切に英文化することで、他社との差別化を図ることが可能です。海外投資家に伝わるようにIR情報を英文化したい場合は、実績のある翻訳会社に依頼しましょう。

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