5GやAI、IoTなど、現代における社会のデジタル化を支える半導体。経済安全保障に直結する重要基盤でもあるため、日本を含めた世界各国が、国を挙げてその強化に乗り出しています。国内では、海外のファウンドリとの共同開発を推進する動きもみられています。この記事では改めて半導体そのものについて振り返ったうえで、日本や世界各国における半導体業界の動向などについてご紹介します。
社会のデジタル化に欠かせない存在、「半導体」とは?
半導体は、金属などの電気をよく通す「導体」と、ゴムなどの電気をほぼ通さない「絶縁体」の中間に位置する物質です。その使い方によって、電気を流す・流さないといった制御ができるようになります。半導体の材料には、資源が豊富にあること、加工がしやすいという特徴から、シリコンがよく使われています。
半導体の種類は?
半導体の種類はいくつかに分類されますが、代表的な例として、単一機能を持つディスクリート半導体、単一の半導体を集積して多くの機能を持つIC(Integrated Circuit/集積回路)、集積度が高く複雑な機能を持つLSI(Large Scale Integration/大規模集積回路)の3つが挙げられます。
半導体の役割は?
半導体は、LEDなどに見られる「電気エネルギーの光への変換」、太陽電池などに見られる「光エネルギーの電気への変換」、さらに電気のオン・オフや、電流の流れを一方通行にする、「電流の流れを制御する」といった役割を持っています。これらの半導体は、スマートフォン、パソコン、テレビや家電などの電子機器に多数使用されており、現代の私たちの生活になくてはならない存在となっています。
日本における半導体産業の変遷とは?
日本はかつて、半導体産業の牽引国でした。1988年には、世界の半導体シェアの約50%を日本が占めていましたが、1990年代以降、その勢いは徐々に低下。2019年には、日本のシェアはわずか10%となりました。入れ替わるように、1988年には3.3%のシェアだったアジア諸国が2019年には25.2%のシェアを占めており、今後もその数字は増加すると見込まれています。日本が半導体産業においてシェアを下げ続けた理由として、デジタル産業化が遅れたことや、バブル崩壊によって投資が進まず国内企業が縮小したこと、日米半導体協定に基づく貿易規制などが挙げられます。しかし現在、日本は半導体を「デジタル社会の重要基盤かつ、安全保障に直結する戦略技術」として、半導体の国内開発・製造に対する取り組みを進めています。
出典元:経済産業省 半導体戦略(概略)
各国の施策と国内の動向は?
現在半導体産業をリードするアメリカを筆頭に、世界各国が半導体事業における大規模な産業政策を展開しています。ここでは各国の動きと、日本の取り組みを見ていきましょう。
各国の施策
実際に、各国はどのような施策をおこなっているのでしょうか。半導体産業でシェア約50%を誇るアメリカでは、2022年に半導体産業を支援するCHIPS法案を可決。これにより、アメリカ国内における半導体の生産基盤を固めるべく、半導体を生産する企業に520億ドル(約6兆9000億円)の補助金が投じられます。さらに同年10月には、半導体産業において中国に対する規制を発表。両国の競争は熾烈なものとなっています。その中国は、2015年、製造業を強化するための「中国製造2025」という経済戦略を打ち出しました。この戦略では、2025年までに半導体の自給率を70%までに引き上げるという目標が掲げられています。また、2014年と2019年には国家集積回路産業投資基金を設置。半導体関連企業への出資額は約5兆円以上と、大規模ファンドを通して半導体の国産を推し進めています。さらに、世界の半導体の受託製造において半数以上を占めるTSMCの本国・台湾、半導体業界における大手企業、サムスン電子とSKハイニックスを擁する韓国、2030年に向けたデジタル戦略発表し、デジタル化推進に取り組む欧州も、それぞれが巨額の投資や補助金の施策をおこない、半導体生産の強化をめざしています。
日本における半導体産業の強化とは?
日本における半導体産業の強化対応策として、政府は「デジタル・ニューディールの推進」を実行し、企業や社会のDX化や5G・クラウドDCに対する投資促進の支援などをおこなっています。さらに、先端ロジック半導体の国内量産化をめざすことや、マイコン・メモリ・パワー・センサー・アナログの既存ポートフォリオにおける大胆な刷新、5GやAI、再生エネルギー等のデジタル&グリーンイノベーションを支える半導体の開発や技術の強化、海外ファウンドリとの共同開発等を通じた装置や材料のチョークポイント技術向上など、半導体の生産・供給に向けた様々な施策を打ち出しています。
半導体業界における翻訳に求められるものは?
政府は、上記のような半導体産業の成長をめざして、海外ファウンドリとの共同開発や国内立地の誘致を図っています。そのため半導体分野において、これまで以上に翻訳の必要性が加速すると見込まれています。半導体産業で取り扱う文書の種類は多岐にわたり、専門用語が含まれるケースも多く、文書の厳重なセキュリティ管理も求められます。このような理由から、関連文書の翻訳は、専門知識と万全のセキュリティ体制が整っている翻訳会社に依頼すると安心です。
サン・フレアの半導体翻訳に関わる実績は?
長年翻訳に携わっているサン・フレアは、これまで多くの半導体関連文書の翻訳を手掛けてきました。ここでは、サン・フレアの実績や強みなどをご紹介します。
SEMI会員ならではの豊富な翻訳実績
サン・フレアは、1970年に設立された国際半導体製造装置材料協会(Semiconductor Equipment and Materials International、以下SEMI)の会員です。半導体関連装置の標準規格を決定しているSEMIは、世界2,500社以上の企業が会員となっており、当社はその1/3の企業とお取引実績があります。半導体関連文書の翻訳依頼は年々増加傾向にあり、その内容もマニュアル全般、各種カタログ、仕様書、テクニカルノート、SDSといった技術的なものからプレスリリース、契約書、会議・販促資料から動画まで多岐にわたります。
セキュリティ・品質管理体制は万全。安心してご依頼いただけます
サン・フレアは2013年、情報マネジメントシステムに関わる国際規格、ISO 27001認証を取得。その規則に則り、ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)に対する規定を作成し、セキュリティの管理体制を徹底したうえで、定期的に内部監査やマネジメントレビューをおこない、常時改善を進めています。さらに品質マネジメントシステムの国際規格であるISO 9001、翻訳サービスの国際規格であるISO 17100を取得しており、厳しいセキュリティ管理体制と高品質な翻訳提供の運用体制を整えています。
半導体に関わる文書の翻訳はサン・フレアにお任せください!
各国が様々な施策を打ち出し、自国での量産を確立すべく注力を続ける半導体産業。日本においても、2024年末に稼働を予定しているTSMCの熊本工場や、2027年の量産開始を見据えるラピダスなど、国内半導体産業の再興に向けた勢いは加速しています。サン・フレアは、常に最新の動向にも目を向けながら、お客様のニーズに寄り添ったご提案をいたします。