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国のインバウンド戦略「医療ツーリズム」に多言語対応が必須な理由

目次

  1. 「医療ツーリズム」とは?
  2. 外国人が「医療ツーリズム」の渡航先に日本を選ぶ理由は?
  3. 「医療ツーリズム」の諸外国の取り組みは?
  4. 日本における「医療ツーリズム」の取り組みとは?
  5. 医療ツーリズムに、上質な翻訳が欠かせない理由

「医療ツーリズム」とは、医療サービスを求めて他国へ行く旅行のことをいいます。世界各国で、この医療ツーリズムに観光資源を組み合わせて外国人観光客を誘致し、医療や経済の発展につなげるインバウンド戦略を展開しています。日本においても、国が一体となってその発展をめざしています。本記事では、医療ツーリズムに対する国の取り組みや、医療機関における多言語対応の重要性についてご紹介します。

「医療ツーリズム」とは?

医療ツーリズムは2009年、国の新成長戦略に盛り込まれ、国土交通省や経済産業省、厚生労働省、観光庁や自治体などが協力しあって様々な施策や事業をおこなっています。医療ツーリズムの目的は、主に人間ドックや検診をおこなう「健診」、再生医療を美容分野に活かしたエステ、森林療法などの「美容や健康増進」があります。いずれも健診や治療等の終了後、または健診結果を待つ合間に観光期間を設け、医療サービスと観光資源を共に提供することで、多くの外国人観光客の誘致をめざしています。また、「医療ツーリズム」と似た内容として、「渡航医療」があります。「医療ツーリズム」は上記のような項目に加え、スパや温泉湯治など、レジャー性の高いものも含まれるのに対して、「渡航医療」はがん治療などに対する高度医療を目的として国外の医療機関を検診・受診することを目的としています。

外国人が「医療ツーリズム」の渡航先に日本を選ぶ理由は?

外国人が日本を医療ツーリズムの目的地とする理由として、大まかに分けて、以下のような内容が挙げられます。
・医療資源が充実している
・自然や文化、食事など、観光資源が充実している
・医療・観光ともに、ホスピタリティが充実している
日本の医療の質は世界的に見てもトップレベルとされており、各国と比べてMRIやCTといった医療機器の台数も多いため、豊富な医療資源を求めて来日する外国人が多くなっています。また、日本の健康診断は検査項目が多いため、健康状態を把握しやすいことも渡航先に選ぶ理由の1つといわれています。さらに他国にはない独特の文化・歴史、美しい自然、ユネスコ無形文化遺産になっている和食といった観光資源も充実しています。また、日本の「おもてなし」を基準としたカスタマーサービスは世界的に見ても素晴らしく充実しているため、そのホスピタリティに魅力を感じ、医療ツーリズムの目的地として選択する観光客もいます。

「医療ツーリズム」の諸外国の取り組みは?

日本だけではなく、世界中の様々な国が国策として医療ツーリズムに注力しています。ここでは、アジアで医療ツーリズムの目的地として人気の高いシンガポール、タイの取り組みをご紹介します。

シンガポールの取り組み

世界有数の医療先進国であるシンガポールは、世界で最も厳しい評価基準を持つ国際的な医療施設評価機関、JCI(Joint Commission International)の認証を受けた病院数がアジア1位となっています。国は高度な医療水準を維持するべく、医師不足解消のための外国人医師の積極的な受け入れや、医療機関の株式会社化による競争意識の促進といった取り組みをしています。また政府は2013年、より多くの患者のニーズを満たすため、医療機関・医学校・研究施設などを一カ所に集約させる「HealthCity Novena」構想を発表。2030年の完成をめざし、計画を進めています。多民族国家であり、公用語に英語と中国語が含まれているシンガポールは、言語や文化・慣習の面においても、外国人にとって医療を受けやすい環境が整っているといえるでしょう。

タイの取り組み

タイは2004年、国がアジアの医療拠点をめざすという「アジアメディカルハブ」構想を発表し、以降、国を挙げて医療ツーリズムに注力してきました。これまで医療ツーリズムを目的とした外国人観光客誘致のため、ビザ発給の簡素化に取り組んできましたが、2021年、政府はついに医療ビザの発給を承認。取得に諸条件がありますが、がんや循環器系疾患といった病気の治療はもちろん、リハビリテーションやアンチエイジング、美容整形なども医療ビザの対象になっています。また、マッサージやスパなども有名なタイは、健康促進や病気の予防などに焦点を充てたウェルネスツーリズムにも国として取り込んでいます。

日本における「医療ツーリズム」の取り組みとは?

日本においても、国は医療ツーリズムに対する様々な支援や取り組みをおこなっています。ここでは、その具体例についていくつかご紹介します。

一般社団法人Medical Excellence JAPAN(MEJ)による医療の国際化

MEJは国内外の医療水準・福祉・経済の発展に貢献することを目的に、経済産業省の支援を受け、2011年に発足した組織です。医療の国際展開を促進するため認証事業をおこなっています。その一環として、渡航受診者の積極的な受け入れに取り組む医療機関をJapan International Hospitals(JIH)として推奨しており、政府との協力のもと、海外向けにJIHに関する情報を多言語で発信しています。また、セミナーやシンポジウムを開催し、医療の国際展開に関わる情報交換・知識共有をする場の提供や、国内・海外の医療機関・海外医療エージェンシーと連携をとる医療渡航フォーラム活動もおこなっています。

医療ビザの発行

日本では2011年より、治療等を受けることを目的とした外国人観光客のために、医療ビザを発行しています。取得には身元保証機関の身元保証を受ける必要がありますが、高度医療・治療行為はもちろん、人間ドック、検診、歯科治療など、幅広い分野が対象となります。短期滞在ビザは最大90日の滞在期間ですが、医療ビザは病態等によって最大1年の滞在が認められています。さらに、必要に応じて外国人患者等の身の回りの世話を目的とした、同伴者の同行も可能とされています。

各地域の取り組みは?

厚生労働省と観光庁が連携し、2019年から「地域の医療の充実を通した外国人受入れ推進のための体制構築支援事業」を実施しています。この事業においては、医療機関や行政、さらに観光事業者が協力し合い、地方の医療ツーリズムに関する体制強化や、外国人観光客誘致のための滞在プラン提供、およびそれらの海外販売などをおこなっています。ここでは具体的な内容として、宮城県と沖縄県の例を見てみましょう。
・宮城県白石市・仙台市
画像検診と周辺観光を組み合わせたプランを策定。令和4年度はその内容をさらに充実させ、大人は医療機関での画像検診を受けている間に、子どもたちは防災体験を通じて学習ができる1泊2日のプランを造成・販売しました。
・沖縄県沖縄市・南城市
沖縄ならではの自然や文化を取り入れた、リハビリテーション希望者向けのプランを策定。カスタマイズされた医療機関でのリハビリテーションに加え、希望者は宿泊場所での訪問リハビリも受けられる、充実した内容になっています。さらに、沖縄の伝統芸能であるエイサーを体操用にアレンジして体験できるようにするなど、ここだけでしか体験できないようなプランのブラッシュアップをおこなっています。

医療ツーリズムに、上質な翻訳が欠かせない理由

様々な国の外国人眼光客が、医療サービスを求めて利用する医療ツーリズムには、上質な翻訳が必要不可欠です。ここでは、その理由をご紹介します。

安心して医療サービスを受けられる環境づくりのため

2015年から2019年まで、日本が発給した医療ビザ取得者の7割~8割は中国人であり、ビザの発給数は1位でした。さらに、同期間におけるビザの発給数2位である、ベトナムからの渡航者も年々増加しています。様々な国からやってくる患者が安心して医療サービスを受けられるようにするためには、医療機関の多言語対応が求められます。医療機関によるドキュメントを患者に最適な形で提示するには、プロの翻訳者による質の高い翻訳が望ましいでしょう。

専門性と正確性が不可欠なため

医療に関わる翻訳は人命に関わるため、ミスや誤訳は絶対に許されません。昨今では機械翻訳の精度が格段に上がり、正確性も飛躍しましたが、機械という性質上、どうしても誤訳が発生してしまう可能性があります。そのため、医療に関わる翻訳に関しては、専門知識を持つ翻訳者に依頼をすると安心です。

医療ツーリズムに関する翻訳は信頼と実績のサン・フレアへ!

国によるインバウンド戦略として、今後さらなる発展を遂げると予想されている医療ツーリズム。医療機関の多言語対応においては、徹底した正確性と専門性が求められます。サン・フレアは長年、医療分野での翻訳に携わっており、多数の実績があります。世界90以上の言語を取り扱っているため、多言語翻訳も可能。専門知識を持つ6,000名以上の登録翻訳者の中から、最も適した翻訳者を選出します。外国人患者向けドキュメント、受付表・問診票、医療記録から院内サイン・設備仕様まで、幅広い分野の文書を翻訳いたします。医療ツーリズムに関わる文書翻訳をご検討中の方は、お気軽にサン・フレアまでお問い合わせください。

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