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様々なメディアが発展し、世界中のユーザーが多くのチャンネルから情報を取得できる今、ゲームは「国境を越えて楽しめるもの」であることが求められています。そんな時に必要となるのが、ローカライズです。ゲームのローカライズは、ただテキストを翻訳するというものではなく、一般的な翻訳のフローとは違った概念があります。今回はそのゲームのローカライズに焦点を充て、その内容や押さえておくべきポイントをご紹介します。
そもそも、ローカライズって何だろう?
ローカライズとは、ゲームを他国でプレイできるように、その国の言語や文化、習慣などを考慮しながら適切な翻訳にしたり、状況に応じて画像を差し替えたりする作業のことです。この作業をおこなうことで、各国のユーザーにゲームの内容をより自然に、正確に理解してもらえるようになります。
ゲームのローカライズに必要な要素とは?
ここからは、実際にローカライズに必要とされている内容をご紹介します。ゲームのローカライズには翻訳の前段階でおこなうファミリアライズや用語集・スタイルガイドの作成、モデル訳文や登場人物表の作成、Linguistic Quality Assurance(LQA)と呼ばれる品質チェックといったフローが必要となります。順を追ってそれぞれ詳しく見てみましょう。
ファミリアライズとは?
ゲームのローカライズに欠かせない「ファミリアライズ」とは、「ゲームの内容を深く理解する」ことです。例えばゲームの世界観、ストーリー、舞台となった時代やキャラクターの性格などをしっかりと理解することで、その後のローカライズの方針が決まるのです。具体的には設定資料・公式サイト、原作があればその原作の細かなチェックや、実際にゲームをプレイするなどして、その内容を熟知するようにします。
ファミリアライズ後に作成するものは?
ゲームの翻訳分量はかなり多いため、通常は複数名の翻訳者が翻訳をします。通常、翻訳者によって訳文に差が出ますが、用語集があれば訳語を統一することができます。同様に、数字・単位の表記などを規定したスタイルガイドも用意しておくことで、表記ゆれも防ぐことができるでしょう。さらに、キャラクターの個性などを反映したセリフのモデル訳文や、各キャラクターの相関図など、ファミリアライズで浮かび上がってきたあらゆる要素を反映した資料も作成しておくことで、翻訳品質の向上につながります。
実際の翻訳はどうやっておこなう?
ゲーム内のテキストを「インゲームテキスト」と呼びます。インゲームテキストの翻訳は、上記で触れたように複数名でおこなうため、「CATツール」と呼ばれる翻訳支援ツールを使用して行います。CATツールはComputer-Assisted Translationの頭文字をとったもので、用語集やスタイルガイドの登録ができるため、翻訳における固有名詞や各表現の統一が可能です。翻訳の際に重要となるのは、正確性はもちろん、ゲームの世界観やキャラクターの性格、アイテム名や技名など、そのゲームの要素を反映しながら訳す技術です。翻訳後、セリフに音声がついている場合は吹替収録の作業も発生します。
LQAとは?
LQAは、翻訳終了後に実施する言語品質のチェックです。求められるレベルの翻訳になっているか、訳語に統一感があるか、実際に対象国の言葉で違和感はないか…など、実際のゲーム画面を見ながら多数の項目を細かくチェックすることで、ゲームの言語に関わる品質を向上させます。また、言語によってはテキストの文字数が多くなるため、重なったり、はみ出してしまったりすることもあります。そういったテキスト表示の部分に関しても確認し、最終的に各国のプレイヤーにとって違和感が残らないようにするための工程です。
ローカライズに欠かせない2つのポイント:カルチャライズ&インターナショナライズ
ローカライズでは、「カルチャライズ」と「インターナショナライズ」が欠かせないポイントとされています。よく間違われやすいこれらの言葉ですが、実は意味合いが異なります。では、カルチャライズとインターナショナライズ、それぞれの違いを見てみましょう。
カルチャライズとは
カルチャライズとは、文化や価値観、習慣などを対象国に合わせて変更していくことです。また、各国の規制や宗教的・文化的にNGなシーンがあれば差し替える、ゲーム内で使われている流行り言葉や若者言葉を対象国の表現に合わせていく、といった作業もカルチャライズに含まれます。例えばイスラム教では、アルコールが禁止されています。そのため、イスラム教が信仰されている国で販売するゲーム内にアルコールが登場する場合は、該当シーンを削除する、差し替えるといった対応が必要になります。
インターナショナライズとは?
インターナショナライズは、様々な言語をゲーム内で使用できるよう、システム面を変更していくことです。翻訳者ではなく、プログラマーやエンジニアが担当します。例えば英語のみに対応しているゲームを、日本語・中国語・韓国語で表示できるようにするとします。日本語はひらがな・カタカナ・漢字、中国語は簡体字・繁体字、韓国語はハングル文字の表示が必要なので、それぞれをゲーム内で表示できるように仕様に変更を加えます。これらの調整によって文字化け等の問題が生じることなく、ゲーム内で対象国のテキストを表示できるようになるのです。
ゲームのグローバルな展開に必要なものは?
実際にゲームをグローバルに展開するには、作品に加えて、プロモーションツールのローカライズも必要です。WebサイトやSNSは多言語化し、対応言語で確認できるようにしておくと、各国のユーザーが即座に情報を確認でき、注目も集まりやすくなります。またプロモーション動画に関しても、対象国の内容にローカライズしておくことで、多くのユーザーの興味を引くことができるでしょう。他にも商品説明や取扱説明書など、ゲームに付随する文字要素を翻訳しておく必要があります。
ゲームのローカライズでお困りの際は、サン・フレアへお問い合わせください!
ゲームのローカライズは一般的な翻訳と異なり、工程が多く、翻訳自体にも工夫と技術が必要です。長年翻訳に携わっているサン・フレアは90を超える言語を取扱っており、専門性の高い翻訳者がゲームの世界観を崩すことなく各国の言語に翻訳します。用語集等の資料作成やQAについても、用語リスト作成の自動化や、独自ツールを使用したりするなどITの活用によって、スピードと品質を両立します。また作品のローカライズ以外にも、音声収録や海外展開のバックアップにも対応しています。ぜひ、お気軽にお問い合わせください。