再生可能エネルギーの「切り札」として期待されている洋上風力発電。日本政府は本腰を入れ、大規模事業として展開に取り組んでおり、これまでに第1〜3ラウンドの公募が行われました。一方、続く第4ラウンドの公募は当初の想定より遅れており、新たな情報の発表が待たれています。
第1ラウンドから段階的に区切られながら進行している事業者選定。公募への参加に向けては、海外の協力企業と連携するためにも、国からの公募情報をいち早く翻訳することが重要です。第1〜3ラウンドの振り返り、そして第4ラウンドの見通しを説明します。
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第1~3ラウンドの振り返り
まずは洋上風力発電の第1~3ラウンドの公募結果について振り返りましょう。
第1ラウンドについて
第1ラウンドでは、三菱商事を中心とするコンソーシアムが、公募があった全3海域で事業者に選ばれました。東京電力などの大手電力会社のチームや住友商事、海外の事業者が参加している中での独占的結果となり、大きな注目を集めました。
【秋田県能代市・三種町・男鹿市沖】
- 選定事業者:秋田能代・三種・男鹿オフショアウィンド
- 構成員:三菱商事エナジーソリューションズ株式会社、三菱商事株式会社、株式会社シーテック
【秋田県由利本荘市沖】
- 選定事業者:秋田由利本荘オフショアウィンド
- 構成員:三菱商事エナジーソリューションズ株式会社、三菱商事株式会社、株式会社ウェンティ・ジャパン、株式会社シーテック
【千葉県銚子市沖】
- 選定事業者:千葉銚子オフショアウィンド
- 構成員:三菱商事エナジーソリューションズ株式会社、三菱商事株式会社、株式会社シーテック
第2ラウンドについて
第2ラウンドでは、3つの区域でそれぞれ以下のコンソーシアムが選定されました。
【秋田県男鹿市、潟上市及び秋田市沖】
- 選定事業者:男鹿・潟上・秋田Offshore Green Energyコンソーシアム
- 構成員:株式会社JERA、電源開発、伊藤忠商事、東北電力
【新潟県村上市及び胎内市沖】
- 選定事業者:村上胎内洋上風力コンソーシアム
- 構成員:三井物産、RWE Offshore Wind Japan 村上胎内、大阪瓦斯
【長崎県西海市江島沖】
- 選定事業者:みらいえのしまコンソーシアム
- 構成員:住友商事、東京電力リニューアブルパワー
第1ラウンドでは、固定価格買い取り制度である「FIT制度」が適用されていましたが、第2ラウンドでは売電時の価格を参照して補助金を付与する制度が「FIP制度」に変更されたほか、発電・送電容量の上限が規定され、一定の落札制限が設けられました。
第2ラウンドの選定結果については以下の記事で詳しく触れていますので、ご覧下さい。
洋上風力ラウンド3の公募開始!前回の結果は?| - ブログ - SunFlare Style
第3ラウンドについて
第3ラウンドの公募結果はそれぞれ以下の通りです。
【青森県沖日本海(南側)】
- 選定事業者:つがるオフショアエナジー共同体
- 構成員: JERA、グリーンパワーインベストメント、東北電力
【山形県遊佐町沖】
- 選定事業者:山形遊佐洋上風力合同会社
- 構成員:丸紅、関西電力、BP Iota Holdings Limited、東京瓦斯、丸高
選定では「事業実現性評価点」が、公募占用指針に基づいて、「(提案者の評価点/同一の促進区域における公募参加者の最高評価点)×120」の計算式で補正されています。
第3ラウンドの選定結果はそれぞれ以下の通りです。
1. 青森県沖日本海(南側)の評価結果

「第3ラウンド公募結果・選定事業者の計画概要」(経済産業省)(https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/saisei_kano/yojo_furyoku/pdf/031_02_00.pdf)を加工して作成
2. 山形県遊佐町沖の評価結果

「第3ラウンド公募結果・選定事業者の計画概要」(経済産業省)(https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/saisei_kano/yojo_furyoku/pdf/031_02_00.pdf)を加工して作成
年明けには第1ラウンドの再公募情報も
ちなみに第1ラウンドについては、三菱商事を中心とするコンソーシアムが3海域で事業者に選定されていましたが、今年の8月下旬、全海域で事業を撤退することを表明し、業界内に大きな波紋を広げました。
参考:国内洋上風力発電事業に係る事業性再評価の結果について|三菱商事
巨額の違約金が発生するにもかかわらず撤退を決めたことの背景には、資材コストや建設コストの高騰による採算性の悪化が確実となったことがあります。
国はこうした事態を受け、再公募をできるだけ速やかに行う方針を示しており、三菱商事が撤退に至った要因などを検証しつつ、公募制度の見直しを含めて検討している状況です。具体的なスケジュールは、年明け以降に発表される可能性が高そうです。
気になる第4ラウンドの公募概要は?
第1ラウンドの再公募とは別に、第4ラウンドの公募も今後行われる予定で、2025年の年内から年明け以降のいずれかのタイミングで開始されると見られています。経産省と国交省が現在、調査対象区域を整理するなどし、各海域の地元自治体などとも調整を進めていると考えられます。
ちなみに第4ラウンドについては「早ければ2025年の秋ごろ」という見方もありましたが、その想定より遅れている状況で、さらに後ろ倒しの可能性も出てきています。その理由は、前述の第1ラウンドの再公募をめぐって、政府内で検討・再検討すべき事項が増えたためです。
いずれにしても、洋上風力発電に関する公募制度やスケジュールについての新たな情報を待ちつつ、公募への参加を検討している企業は提出資料の準備などをしておくことが重要です。
サン・フレアの豊富な翻訳実績
洋上風力発電の国の公募に参加し、さらには事業として展開するためには、専門性の高いさまざまなドキュメントの作成・翻訳が、計画・EPC・O&Mのそれぞれの段階で必要となります。

入札資料はもちろん、公募占用計画書や法規制調査、各種報告書・レポート、機器リストや工程表の翻訳も必要です。
約半世紀にわたってさまざまな産業分野で翻訳サービスを展開してきたサン・フレアでは、洋上風力発電の分野でも年間300文書以上の豊富な実績があります。
【翻訳依頼のあったドキュメントの一例】
- 洋上工事の計画・輸送・設置などに関するガイドラインおよび規定文書
- 風力発電の保守・運用に関するマニュアル
- プロジェクトに関するプレスリリース
- 事業に関する各種契約書
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サン・フレアは、国際規模で展開するプロジェクトを円滑に進めるための言語面でのサポートをトータルで行います。2020年に立ち上げた洋上風力プロジェクトチームでも、高い翻訳品質を実現しています。
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