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ゲームローカライズの「おかしな翻訳」徹底対策法

目次

  1. ゲーム翻訳ならではの「おかしな翻訳」が生まれる理由
  2. 実際によくみられる「おかしな翻訳」の例は?
  3. ゲームローカライズで「おかしな翻訳」を避ける方法

ゲームのローカライズにおいて、翻訳の質は「タイトルがその国で受け入れられるか」を左右する重要な要素の1つです。世界観やストーリー、キャラクターや技名、土地の名前など、タイトルを構成する要素を崩さないように保ちつつ、対象国の言語で魅力的な訳文を生み出すことが求められます。高い翻訳の技術が求められる一方で、実はゲームローカライズは「おかしな翻訳」が生まれやすい分野です。ここでは、ゲームローカライズにおける「おかしな翻訳」にスポットを当て、その原因や対策法ついてご紹介します。

ゲーム翻訳ならではの「おかしな翻訳」が生まれる理由

ゲーム翻訳では、たとえ注意していても「おかしな翻訳」が出来上がってしまうことがあります。なぜそのような状況が起きるのか、その理由を探ってみましょう。

複数名で作業しているから

ゲームの翻訳はセリフやUI、説明文などテキストのボリュームがかなり大きく、その上、スケジュールもタイトなことが多くなります。したがって、ゲームの翻訳はほとんどのケースにおいて、複数の翻訳者によっておこなわれます。その際、用語集やスタイルガイドを準備した上で、CAT(Computer-Assisted Translation)ツールと呼ばれる翻訳支援ツールを使って翻訳を進めることが一般的です。CATツールは用語集の登録ができ、オンライン上でプロジェクトを管理できるため、複数名の翻訳作業には必需品と言えるでしょう。しかし用語集がきちんと用意されていなかったり、スタイルガイドの準備が不十分だったり、CATツールが適切に使用されていなかったりすると、訳文がばらつきやすくなります。ゲームには、そのタイトル独特の固有名詞なども多く登場するため、この統一感を保つことが質の良い翻訳を生み出す鍵の1つとなります。

テキストのみを見て翻訳しているから

ゲーム翻訳はテキストのみを見て進めてしまうと、前後関係が分からず、「おかしな翻訳」が生まれやすくなります。例えば、「非常に真面目な中世の騎士」というキャラクターのセリフに、軽い口調の訳文をあててしまうと不自然さが生じます。ゲームの設定資料集には、ストーリー、タイトルの舞台、歴史、キャラクターの名前・年齢・性格や背景といった情報が記載されているため、十分に読み込むことで、文章のトーンやセリフの語尾、上記のような単語に対して採用する訳文なども判断がつきやすくなります。さらに、ゲームの翻訳では、「画面表示を確認し、訳文が違和感なく一致していること」も求められます。わかりやすさが求められるボタンやメニュー、設定画面の文章に対し、ゲームのセリフのような口語的な訳文がついていたり、アクションのシーンなのに、セリフに悲しいトーンの訳文がついていたりすると、プレイヤーの混乱を招いてしまうでしょう。また、技名の翻訳では、画面上でのキャラクターの動きや演出、技の効果も考慮する必要があります。そのため、テキストのみを見て翻訳するのではなく、資料や画面表示を適宜確認しながら翻訳することが求められるのです。

実際によくみられる「おかしな翻訳」の例は?

よくある「おかしな翻訳」は、上記でも触れたように、同じキャラクターの名前の表記があるときはひらがな、あるときはカタカナになっていたりするなど、整合性が欠けてしまうケースなどがあります。また、画面のテキストでは「〇〇しませんか?」とあるのに、それに対応する「はい」「いいえ」の表記がなかったり、答えに相当する訳語が間違っていたりすることも、ユーザーの混乱を招きます。さらに、文章が途中で切れて日本語として意味が通らないものや、たとえその訳が合っていたとしても改行の位置が適切でなく、文章を読み進めにくくなるようなものも、心地よいプレイの妨げとなります。

ゲームローカライズで「おかしな翻訳」を避ける方法

ゲームローカライズにおいては、どんなに素晴らしいタイトルであったとしても、翻訳の質が高くなければユーザーにその魅力を正しく伝えることが困難になります。では、実際に「おかしな翻訳」を避けるためには、どのような対策を取ればよいのでしょうか。

依頼者側:資料をしっかりと準備する

翻訳を依頼する側は、ゲームに関わる資料をできるだけ多く準備することが望まれます。例として、実機画面やプレイ動画といった資料があると、翻訳者もゲームの世界観や全体像をつかみやすくなるでしょう。さらに細かく記載された用語集があれば、訳文のブレを防ぐことができます。ストーリーの詳細な流れやゲームの設定集、訳文の例などがあると、例えばキャラクターのセリフ(一人称や口調、そのキャラクター独特の言い回しなど)やゲームの舞台(中世的でファンタジックなのか、未来的なSFなのか)の翻訳の指標ができ、よりゲームの世界観を反映した翻訳に仕上げることができます。

翻訳者側:資料を読み込んだ上で、訳文の使われる場面を意識する

翻訳者側はまず、用意された資料をしっかりと読み込んで、ゲームの内容を深く理解しておくことが大切です。実際に翻訳を進める際は、用語集などで指定された語句に注意を向けつつ、設定集、ストーリーやキャラクターに関する資料などで確認したゲームの世界観を念頭に置く必要があります。「この訳文は、どのような場面の、どのような状況で使われるのか」を常に意識しながら翻訳を進めることも、「おかしな翻訳」を防ぐことに効果的です。

翻訳後はLQAを実施する

翻訳作業が終了したら、Linguistic Quality Assurance(LQA)と呼ばれる、言語品質のチェック作業が必要となります。LQAは実機でおこない、訳文のチェックや表現に問題はないか、といった内容からテキストの表示、改行の位置、文章が長すぎないか…など、細かな項目をくまなくチェックします。この作業はゲーム翻訳の品質向上に直結するため、非常に重要な工程です。LQAで「おかしな翻訳」を避けることで、プレイヤーがゲームのプレイ中に違和感を覚える機会をなくし、ゲームの世界観に没入できるタイトルに仕上げることができるのです。

ゲームローカライズは長年の実績を持つサン・フレアへ!

ゲーム翻訳の質は、ユーザーからのタイトル評価の軸になります。長年ゲームのローカライズに携わってきたサン・フレアは、ゲーム翻訳において発生しがちな「おかしな翻訳」を防ぐための技術とノウハウがあります。また、ゲームの翻訳には当社のエンジニアがプロジェクト単位で開発する翻訳ツールや、条件にあった単語を洗い出し用語集にまとめるグロッサリー作成ツール、LQAには機械的にエラーを抽出するQAツールなど、独自のITツールを活用しています。これにより、用語ブレの防止やバイト数の制限の対応も可能となっています。ゲームのローカライズに関する内容を検討している方は、ぜひお気軽にサン・フレアにお問い合わせください。

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