近年、医療分野では翻訳業務を外注する傾向が強まっております。
専門的なドキュメントを扱う業界であるため、翻訳会社の選び方や避けるべきリスクを把握した上で外注する事が重要です。
この記事では、医療翻訳を外注する際のメリットや注意点、また翻訳会社の選び方を解説します。
医療翻訳を外注するメリット
まずは、医療翻訳を外注するメリットをご紹介します。
専門性の確保と品質向上
翻訳会社は数多くありますが、得意分野や規模の大小も様々です。そのため、依頼したい分野のドキュメントの専門性と合致する会社の選定が必要です。また翻訳会社の中には小規模の会社もあり、属人的な品質管理になっている可能性もあります。会社全体でエラーを改善できる仕組みがある点も重要なポイントとなります。
時間とコストの節約
外注する以上、一定以上の品質担保は重要です。また、外注している間に他の業務を進める等、外注した場合とそうでない場合のコスト(時間的コストを含む)を精査すると、外注の必要性の有無も社内で説明しやすくなる可能性があります。
リスク管理と法的安心感
依頼文書が機密情報を含む場合、外注先の文書管理体制の確認や秘密保持契約の締結などの対応が必要です。翻訳会社に契約書の雛形があることはもちろん、急ぎの場合は迅速に対応できるかどうかも重要になる場合があります。
多言語対応の柔軟性
依頼する言語が複数ある場合、対応言語の多さや品質も重要なポイントです。該当言語の実績を聞くなどして対応力を確認することも重要です。
事例紹介:医療翻訳を外注した成功例(レビューとお客様の声を参考に)
医療機関様より同意説明文書の多言語化の依頼があり、各言語にて適切なリソースをアサインしつつ、各言語を理解してレイアウトすることで(必要に応じて日本語と併記する等)医療機関様でも運用のしやすいような訳文をご提案いたしました。
医療翻訳サービスの選び方
次に、医療翻訳サービスの選び方を解説します。
翻訳会社の専門性確認
前述の通り、医療翻訳といっても分野は多岐にわたる(臨床・薬事・非臨床・CMC等)ので、依頼する可能性のある分野と外注先の対応範囲を確認することも重要です。
トライアルの重要性
対応可能な範囲を確認すると同時に、期待する品質を満たせるかどうかを見極めるためにもトライアルを活用することが重要です。一部の翻訳会社では、少量であれば無料でトライアルを実施しており、品質確認・納期を含めた対応力を確認するには有用な手段の一つです。
価格設定とコストパフォーマンス
依頼するには、単価設定はもちろん、見積体系が明確かつわかりやすいことも重要なポイントです。少額で依頼しても、思わぬ追加作業で予算を超えてしまうトラブルがあることも。また依頼内容に合わせて複数の工程を提案してくれるなど、目的にあったサービスがあるかどうかも、高いコストパフォーマンスを発揮する上では重要なポイントです。
技術的サポートと追加サービス
多くの翻訳会社では、ITやAI技術を使った翻訳実務をサポートするツールを持っています。それらをうまく使って提案してくれるかどうか、またはネイティブチェックやQAチェックのような、追加の工程にも柔軟に対応できる翻訳会社だと色々なシーンで外注しやすいかもしれません。
医療翻訳のトライアルが重要な理由
次に、医療翻訳の外注におけるトライアルの重要性を解説します。
トライアルでサービス品質を確認する
医療翻訳を外注する際、トライアルを依頼することで、提供される翻訳の品質を事前に確認することができます。トライアルでは、実際のサービスと同条件で作業を依頼し、専門用語の正確さや文脈に合った翻訳がおこなわれているかをチェックしましょう。
特定分野での翻訳精度を比較する
医療翻訳は特に専門性が高く、トライアルを依頼することで、特定分野における翻訳精度を確認できます。例えば、研究開発(CMC・非臨床・臨床)から薬事申請、市販後(安全性・学術)の各段階で必要とされる専門知識や正確な用語使用などをチェックし、質の高い翻訳を提供できる翻訳会社を見極めましょう。
業界基準への適合性をチェック
医療翻訳では、業界基準への適合や規制への対応が必須であり、例えば臨床分野の翻訳の場合、ICHガイドライン等に従って正確に翻訳される必要があります。トライアルを依頼することで、翻訳会社が最新の業界基準や規制に対応しているか確認することができます。
顧客対応の迅速さと柔軟性を評価
トライアルを通じて、各社の顧客対応のスピード感や柔軟性を確認することができます。翻訳会社の迅速で臨機応変な対応力は、プロジェクトの進行をスムーズにし、緊急時にも安心して依頼できる要素となります。これらは、長期的なパートナーシップを築くうえで重要なポイントです。
医療翻訳の外注先を選ぶ際に避けたいリスク
次に、医療翻訳の外注時に気を付けるべきリスクをご紹介します。
専門性の欠如によるリスク
医療翻訳において専門性の欠如は重大なリスクとなります。専門用語の誤訳や不適切な用語使用は、読み手の誤解やミスの発生につながる恐れがあります。医療の専門分野に精通した、信頼できる翻訳会社を選びましょう。
納期遅延の懸念
納期遅延はプロジェクト全体に影響を及ぼすため、避けたいリスクの一つです。トライアルを通じて、プロジェクトの管理体制、納期遵守に対する姿勢を確認し、安心して依頼できる翻訳会社を見つけましょう。
機密情報の漏洩リスク
医療翻訳には機密情報が含まれることが多いため、翻訳会社の機密情報の取り扱い体制の確認はとても重要です。ISO規格やプライバシーマーク等の取得有無、社員への教育、情報セキュリティの体制等を確認し、適切な取り扱い体制が整えられている翻訳会社を選ぶことが大切です。
価格の不透明さによるトラブル
価格設定が不透明な場合、トラブルの原因となります。トライアルを依頼することで、各社の価格設定やコストパフォーマンスを評価できます。予算と品質の両面において最適な翻訳会社を選びましょう。
サポート体制の不足
医療翻訳では、時に急ぎの翻訳や突発的な依頼が発生することがあり、このような場合の翻訳会社の対応力やサポート体制はとても大切です。充実したサポート体制を持つ翻訳会社を選ぶことで、安心してプロジェクトを進めることができます。
医療翻訳トライアルで確認すべきポイント
最後に、医療翻訳のトライアルで確認すべきポイントについてご紹介します。
翻訳の精度と一貫性
トライアルを依頼するからには、その翻訳会社の成果物ファイルの品質をしっかりと確認できなければいけません。そのため、ある程度専門的な文書をトライアル原稿として用意し、高い精度で訳出されているか確認するようにしましょう。
品質を確認する際は、医療用語や表現が適切に使われているか、専門的な訳出が一貫してなされているかをチェックすることで、その翻訳会社がどの程度専門的な翻訳に対応できるのか(専門的なリソースを抱えているのか)を知ることができます。
専門用語の正確な使用
先にもご説明しましたが、翻訳する際に専門的な用語が使われているか、且つ正確に使用されているかについても、トライアルで確認すべき重要なポイントです。
特に、医療翻訳の場合はCMC、非臨床、臨床など、分野が異なるだけで使用される用語・表現が異なるため、各分野に精通するリソースが専門的に翻訳をおこなえるのかをトライアルで確認するようにしましょう。
多言語での表現の自然さ
医療翻訳で多いのは日英間での翻訳です。
ただ、最近では東南アジア系の言語やヨーロッパ系の言語など、日英以外の言語への(からの)翻訳ニーズも増加しています。
翻訳会社によっては日英以外の言語でもトライアルを受け付けていますので、日英以外の言語の翻訳を検討されている場合は、合わせて依頼するとよいでしょう。
翻訳プロセスの透明性
トライアルを依頼する際、どのような工程で翻訳をおこなってもらえるのか、事前に確認しておくことをおすすめします。
医療翻訳に限らず、翻訳会社ごとに異なる翻訳プロセスを設けていることが多いので、成果物の品質だけではなく、実際に外注した時に受けられる翻訳サービスのプロセスも比較材料として押さえておくとよいでしょう。
顧客対応の迅速かつ丁寧さ
最後に、翻訳会社ごとの顧客対応面もしっかりと確認しておくようにしましょう。
例えば、作業前にどの程度ヒアリングをしてもらえるのか、提案までのスピード感、また主なコミュニケーションの方法など、依頼する際に外注先とストレスなくやりとりできるかどうかも重要なポイントになります。
無料トライアルを依頼すれば、まずはお試しで各社の顧客対応を確認できるのでお勧めです。