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外国人労働者受け入れ制度や留学生受け入れといった国が推進している背景から、日本における在留外国人の人数は近年ますます増加傾向にあります。それに伴い、医療機関を受診する外国人の数も増えており、各医療機関での多言語対応が求められています。そこで今回は、実際に在留外国人が感じる困りごとの例なども織り交ぜながら、在留外国人のスムーズな受診を促す「医療翻訳」の大切さをご紹介します。
在留外国人の増加傾向は?
日本における在留外国人の数は、2023年末の時点で341万992人となりました。この数字は、2022年末に比べ10.9%増加しています。国籍別では以下のような例となっており、多くの国から日本に来ていることが分かります。
(1) | 中国 | 821,838人 | (+60,275人) |
(2) | ベトナム | 565,026人 | (+75,714人) |
(3) | 韓国 | 410,156人 | (-1,156人) |
(4) | フィリピン | 322,046人 | (+23,306人) |
(5) | ブラジル | 211,840人 | (+2,410人) |
(6) | ネパール | 176,336人 | (+36,943人) |
(7) | インドネシア | 149,101人 | (+50,236人) |
(8) | ミャンマー | 86,546人 | (+30,307人) |
(9) | 台湾 | 64,663人 | (+7,369人) |
(10) | 米国 | 63,408人 | (+2,604人) |
在留資格で見ていくと、最も多いのは「永住者」の89万1,569人、次いで「技能実習」40万4,556人です。「技術・人文知識・国際業務」が36万2,346人、そして「留学生」の数は約4万人増加し、34万883人となっています。このことから、近年ますます多くの外国人が日本で暮らしていることが分かります。地域別に見ると、在留外国人の数が一番多いのは東京都の66万3,362人で、これは全国の約19%を占めます。次いで愛知県の31万845人、大阪府の30万1,490人と、首都圏を中心に多くの在留外国人が生活しています。
在留外国人が病院にかかるときの困りごとは?
多くの外国人が日本に居住することで、必然的に医療機関に受診する人数も増えています。では、実際に日本で暮らす外国人が医療機関を受診する際、どういった困りごとが出てくるのでしょうか。その事例を見ていきましょう。
自分の保険が使えるのか、保険の仕組みがわからない
日本においては、国民全員が保険に加入しますが、海外は必ずしもそうではなく、保険の仕組みが大きく異なります。例えばアメリカの公的な保険は、障がい者65歳以上が対象の「メディケア」、低所得者が対象の「メディケイド」の2つで、これらでカバーされない人々は民間の医療保険に入ります。その民間保険も受診できる病院が限られていることもあり、日本の保険とは大きな違いがあります。またインドネシアでは「BPJS」という日本のような国民皆保険がありますが、その保険を使う際にも医療機関の受診方法が日本とは異なり、いくつかのステップがあります。上記のような背景から、そもそも「医療機関で自分の保険が使えるのかが分からない」という疑問につながるケースがあります。
受付や次回の診察についてなどの手続きが分からない
日本では医療機関を受診する際、初診であれば保険証を提出し、問診票に記入、場合によっては症状を軽く伝え、診察を待つ…といった流れが一般的です。しかしこの受付が日本語のみの対応の場合、まだ言葉や慣習に慣れていない外国人患者が初めて病院を受診した際には混乱や戸惑いが生じやすくなります。また診察を受けた後も清算や場合によっては次回の予約、処方箋の受け渡し、薬局でのお薬手帳の提出などが生じますが、このシステムも慣れていないと難しいもの。この手続き関連への不安が、医療機関の受診をためらう1つの要因にもなり得るようです。
Webサイトを見ても英語表記がなく、病院の情報収集ができない
医療機関の受診にあたって、事前にインターネットで情報を取得するケースも多いでしょう。しかし自分の求める医療機関のWebサイトにたどり着いたとしても、日本語のみで記載してある場合は医療機関の特徴やアクセス、診療時間などの必要な情報が取得できません。また海外と日本では、医療機関の受診方法が異なります。例えばシンガポールで医療機関にかかる場合は、まずGP(General Practitioners)と呼ばれる総合診療医を受診します。そこで専門医にかかる必要があると判断された場合は、各科の専門医を受診する流れが一般的です。しかし日本では、「お腹が痛いので内科に行きたい」「足を怪我したので整形外科に行きたい」など、症状から判断して自ら行く科を決めることが主流です。このように病院の受診方法も日本と海外では差があるため、「この症状はどの病院の何科に行くべきなのか」という判断材料のためにも、Webサイトの多言語対応が求められています。
外国人にスムーズに受診してもらうための「医療翻訳」とは?
上記のような困りごとを解消するためには、受診前に情報を取得する際のホームページや、受診時に記入や閲覧を擁する文書をあらかじめ多言語に翻訳しておくことが望ましいでしょう。例えば問診票や同意説明文といった、院内で患者が読み書きする書類を事前に多言語化しておくことで、手続き関連も安心です。また病院や施設案内も多言語化しておくと、患者が受診時や入院時に感じる不便さの軽減につながります。さらに、症状や薬の使い方、精算方法などの多言語指さしシートなどを作成しておくと、診察後の案内も円滑になるでしょう。
各書類や文書の翻訳方法は?
文書やホームページなどを翻訳する方法は大まかにわけて4つあります。
1. 自分で翻訳する
2. 翻訳者を探して依頼する
3. 機械翻訳を使う
4.翻訳会社に依頼する
医療翻訳は専門用語が多く、英語と日本語の知識に加えて専門的な医療知識を要します。加えて医療翻訳は、たった一言の誤訳が人の命に関わる大きな問題につながってしまう可能性があるため、絶対的な正確性が必要です。また医療機関において扱う文書は文字要素が多く、かなりのボリュームを翻訳しなければなりません。そのため自分で翻訳をしたり、翻訳者を独自で探したりする場合は、ある程度の時間を見込んでおくべきでしょう。また昨今は機械翻訳の精度が向上しているため、その導入も増加傾向にあります。しかし上述の通り、医療用語が頻出する高い専門性と絶対的な正確性が求められる医療翻訳においては、機械翻訳における誤訳の可能性も充分に考慮しておくことが求められます。医療翻訳のようにボリュームのある内容を正確かつ高品質な翻訳に仕上げたい場合は、実績やノウハウがある翻訳会社に依頼することがベストだといえるでしょう。
医療翻訳を翻訳会社に依頼するには?
では実際に医療翻訳を翻訳会社に依頼する場合、どのようなポイントを押さえておくべきなのでしょうか。まず、翻訳会社にはそれぞれ得意な分野があります。そのため、医療翻訳に特化していて、実績が豊富な翻訳会社を選ぶと安心です。また昨今は、多くの国から外国人が日本に来ているという背景から、多言語対応が求められます。そのため、取り扱い言語ができるだけ多い翻訳会社がよいでしょう。また医療翻訳はボリュームが多いため、コストや納期などに対して柔軟かどうかも考慮するべきポイントです。
在留外国人受け入れのための医療翻訳はサン・フレアへ!
長年医療翻訳に携わってきたサン・フレアは、インバウンド医療に特化した翻訳サービスを提供しています。問診票、診断書から医療記録や広報・プロモーションコンテンツ、さらに各種契約書や法務・財務に関わるドキュメントなど、全てのシーンで必要とされる文書の翻訳に対応しています。またサン・フレアの対応言語は、世界90言語以上。各国の患者の受け入れに必要とされる多言語化をカバーしています。さらに翻訳メモリの活用によるコスト削減や、翻訳だけでなくWebサイト・パンフレットの制作までワンストップにおこなうなど、お客様の要望に応じて対応いたします。各種医療翻訳をご検討中の方は、ぜひサン・フレアにお問い合わせください。