動画メディアが発達し、ますます映像コンテンツの需要が高まっています。動画を世界中の人々に見てもらえるというメリットから、多言語で映像に字幕をつけることが増えています。しかし実際に字幕をつけるには、いくつか押さえておくべきポイントが存在します。今回は動画の字幕翻訳に焦点を当て、その手法やルール、必要な素材などを紹介しながら解説します。
字幕翻訳の基本的なルールって?
動画につける字幕は、視聴者が見て瞬間的に理解できる内容にする必要があります。人間が1秒間に読める文字数には限界があるため、例えば日本語の字幕では、以下のような基本ルールが存在します。
・1秒4文字
・1画面に表示するのは2行まで、かつ1行は13文字(場合によって増減することもある)
上記ルールは映画やドラマなどの動画コンテンツにおいて、広く知られるルールです。しかし昨今はe-Learningや研修など、ビジネス系動画のコンテンツ数も非常に増えています。そのような動画では商品名や企業名など、固有名詞やカナ表記が含まれることも多い傾向にあり、内容によっては1秒4文字・1行20文字以内に抑えられないケースも多くあります。そのため、ビジネス系の動画では1秒6~8文字、1行は25文字前後、と映画などのルールよりも文字数を多めに設定することもあります。
字幕翻訳の手法を詳しく解説
では、実際に字幕翻訳を進めるには、どのような作業が必要になるのでしょうか。ここでは実際の字幕制作の流れや、字幕のために画面を区切る「ハコ切り」、字幕の開始・終了のタイミングを決める「スポッティング」、そして字幕翻訳をおこなう際の注意点などについてご紹介します。
字幕制作の流れとは?
一般的な字幕制作の流れを見てみましょう。字幕を翻訳するにあたって、まず動画音声データの文字起こしをして、テキストデータにする必要があります。その後、テキストデータのレビューをおこない、スポッティングやハコ切りの作業を経て、実際の翻訳に移ります。状況によっては、スポッティング・ハコ切りと翻訳の順番を変える場合もあります。翻訳終了後は訳文や表示のチェックをおこない、文章や表示時間の調整を経て、実際に動画に字幕をつける、という流れが一般的です。
ハコ切りとは?
ハコ切りはハコ書き・ハコ割りとも呼ばれており、音声の切れ目(ブレス)や翻訳内容に合わせて字幕を1枚ずつ区切っていくことを指します。基本的には、1つのハコには、1人のセリフのみが表示されるようにします。また一般的には、映像作品における1つのハコの長さは1秒弱~7秒まで、とされています。しかしビジネス系の動画では、続けて話しているのに区切ってしまうと逆に不自然になる場合もあり、状況によっては7秒以上のハコにすることもあります。
スポッティングとは?
スポッティングとは、ハコ切りした動画の字幕表示のタイミングの「IN」「OUT」を決める作業のことです。基本的には、ハコ切りの作業者が、字幕翻訳ソフトなどを使ってスポッティングをおこないます。
翻訳時の注意点は?
映像の字幕翻訳は文書翻訳とは異なり、短い表示時間や少ない文字数でも、視聴者が容易に理解できる翻訳が求められます。そのため、場合によっては原文の情報を取捨選択し、重要なメッセージを捉えて、視聴者の文化的な背景も考慮しながら、的確な言い回しを選択する工夫が望まれるでしょう。また、映像の流れを汲みながら改行位置などにも注意し、視覚的にも分かりやすい形を意識することが必要です。
字幕翻訳に必要な素材やソフトとは?
では実際に字幕制作おこなう際は、どんな素材やソフトを準備しておけばよいのでしょうか。ここでは、音声データのテキスト化や字幕を実装するためのソフト、また字幕を乗せる際に必要なファイル形式などを確認してみましょう。
動画のファイル形式の確認
動画のファイルには様々な形式が存在します。それぞれ汎用性や機能性、対応しているプレーヤーの違いなどの特性があります。一般的に、動画に字幕を乗せるために使用されるファイル形式はMP4ですが、MOVやWMV、AVIといった形式のファイルを使用することもあります。いずれの形式でも、元の言語の字幕や画面テロップが乗っていない作業元動画(「白カン」と呼ばれる)を用意できると、字幕乗せ・画面テロップの差し替え作業がスムースにおこなえます。白カンのようなデータがない場合は、元の言語の字幕や画面テロップの下に翻訳を併記する、または帯を引いてそれらを隠し、その上に翻訳を乗せるなどの作業をおこないます。
スクリプトの有無の確認
字幕翻訳では、動画内で流れる音声をすべてテキストデータに起こす必要があります。従来は専門家に依頼して文字起こすのが一般的でしたが、昨今は音声認識技術が向上し、自動で音声データを文字に変換してくれるツールやウェブサイトなどが多く登場しています。例えばMicrosoft 365やGoogleドキュメントでも文字起こし機能があるほか、動画サイトのYouTubeアカウントを利用して文字起こしをするという方法もあります。いずれもコストの削減や大幅な作業時間の短縮につながりますが、機械による音声認識という性質上、どうしても正しく認識されない言葉が出てきてしまうため、これらのツールを使って起こしたテキストも、最終的には人の目によるチェックが必須といえるでしょう。
字幕制作ソフトの確認
では、実際に字幕を制作するには、どのようなソフトが必要となるのでしょうか。例えばAdobe社の動画編集ソフトで、短い動画から本格的な映像作品まで、あらゆるタイプの動画制作に対応しているAdobe Premiere Proがあります。このソフトは、動画の編集はもちろん、字幕のテキストを動画に焼き付けることも可能です。映像自体の編集よりも主に字幕制作に特化したソフトとしては、株式会社カンバスのSSTG1シリーズもよく知られている製品の1つです。
字幕翻訳は自分でもできる?
字幕翻訳をおこない、動画に字幕を乗せるには、上記のような流れやルールを踏まえた上で、素材やソフトを用意して進める必要があります。セリフやナレーションが少なめの数秒~数十秒程度の短い動画であれば、確認しながら自分で字幕を乗せることもできるかもしれません。しかし長めの動画になってくると、音声の量も増え、当然翻訳すべきテキスト量も多くなります。さらに動画が何本もある場合などは、字幕翻訳のルールや手法を考慮しながら、ソフトの使い方も勉強し、素材の手配も進めるなど、かなり多くの工程を自ら進める必要があります。そのため、長めの動画や本数がたくさんある動画、あるいは多言語展開を計画している動画に関しては、実績のある翻訳会社に依頼するのが安心です。
サン・フレアの字幕翻訳の実績は?
長年にわたり翻訳サービスを提供しているサン・フレアは、動画翻訳の実績も豊富。これまでに海外研修用動画やウェビナー、製品/サービス/企業活動プロモーションなど、幅広い種類の字幕翻訳をおこなってきました。世界90言語以上に対応しているため、多言語翻訳も可能です。6,000名の登録翻訳者の中から、ご依頼いただく動画の内容に関する専門知識をもつ翻訳者が翻訳を担当します。さらに訳文は自然が読みやすい表現になるよう、すべてネイティブによるチェックをおこないます。また、動画編集専門スタッフが在籍しているため、編集のご要望にもスピーディに対応いたします。動画の音声や字幕付けに加えて、動画内の埋め込みテキストやデータの翻訳や差し替え、テロップや画像のアニメーション再現までおこないます。
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本記事では、動画の字幕翻訳に関するルールや手法、使用する素材やソフトなどについてご紹介しました。世界のグローバル化が目覚ましい昨今、内容が分かりやすく、多くの視聴者に届けることができる字幕入りの動画コンテンツの需要はますます増加しています。動画の多言語展開や字幕翻訳については、ぜひサン・フレアにお問い合わせください。