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たまには空を見上げてみよう★ Vol. 6 太陽系最大の(ガス)惑星 木星 ~大赤斑とガリレオ衛星~

目次

  1. 木星の知識をおさらい
  2. 木星と言えば縞模様と巨大な大赤斑!
  3. ガリレオが発見した4つの衛星
  4. 木星の衛星に生命の可能性
  5. 木星探査
  6. 地球を守ってくれている木星
  7. 余談
  8. 終わりに

たまには空を見上げてみよう★ Vol. 36  太陽系最大の(ガス)惑星 木星  ~大赤斑とガリレオ衛星~

この記事は連載記事です。
Vol. 1 奇跡の星「地球」~地球はなぜ「奇跡の星」と呼ばれるのか~
Vol. 2 寒月の夜に読みたい 私たちの一番身近な星である「月」 ~様々な月の呼び方~
Vol. 3 ガリレオに見せてあげたい 美しい土星の環 ~15年周期で環が消失!?~
Vol. 4 古くて新しい疑問 地球以外の生命体は見つかるのか? ~最新の探査状況~
Vol. 5 9月8日の皆既月食の前に読んでおきたい 月食が起きる仕組み ~約3年ぶりの神秘的現象を楽しもう!~

こんにちは。星空案内人のKazzです。
今回は、太陽系第5番惑星である「木星」の話をしたいと思います。
(木星は土星と同じ巨大ガス惑星です。)
木星を写真では見たことがある、という方は多いと思いますが、木星の特徴は何と言っても「縞模様と大赤斑」そして「ガリレオ衛星」でしょう!
「縞模様と大赤斑」はどのようにしてできているのか、「ガリレオ衛星」の特徴などを中心にお話ししたいと思います。

木星(筆者撮影 )
木星(筆者撮影 )

その前に、木星について少しおさらいをしておきましょう。

木星の知識をおさらい

大きさ:半径 約69,911 km(地球の約11倍)

木星と地球の大きさ
木星と地球の大きさ
  • 太陽からの距離:約7億7,830万km(太陽-地球間の約5.2倍)
  • 質量:1.8986×10(27) kg
    ※もちろん惑星中最大で、地球の318倍です。
  • 公転周期:約12年
  • 自転周期:約10時間
  • 大気:水素(81%)とヘリウム(17%)
  • 表面温度:平均-140℃
  • 衛星:97個(2025年8月19日現在)
    ※木星最大の衛星である「ガニメデ(半径=約2,634 km)」は太陽系最大の衛星です。
  • 環:3つの主環があります。
    ※1979年に探査機「ボイジャー1号」によって発見されました。ただし、土星の環と違ってとても薄いため、地球上からは大型の望遠鏡でないと見ることができません。
木星の環
木星の環

木星と言えば縞模様と巨大な大赤斑!

冒頭にも書きましたが、木星は太陽系最大の巨大ガス惑星です。
そのほとんどが、水素、ヘリウムで構成されています。
木星の表面には何本もの褐色の縞模様と楕円形の赤い大きな「大赤斑」を見ることができます。どちらも木星の自転の速さ(約11時間)と大気中の大きな流れが関係しているものと考えられています。

縞模様 

木星の縞模様

木星の表面付近は、アンモニアやメタンでできた雲で覆われています。高速で自転することで、東西方向に生じた強い力が同じ方向に流れる風を発生させ、その風により雲が並ぶため、縞(しま)模様が形作られます。このうち暗くて黒っぽい方を縞(しま:ベルト)と呼び、白っぽい方を帯(おび:ゾーン)と呼んでいます。特に目立つのは2本の縞模様で、それぞれ北赤道縞と南赤道縞と呼ばれています。

大赤斑

木星の大赤斑

まるで木星の目のような大赤斑は、長さが約24,000 km、幅が13,000 kmと地球が1.3個入るほどの大きさがあります。
温度が周りよりも低く、上昇気流が起きている領域で、反時計方向に約6日間かけて回っている大きな渦であることが分かっています。
このとてもよく目立つ大赤斑ですが、実は少しずつ小さくなっているようなのです。1800年代には、地球の4倍ほどの大きさがあったらしいのですが、今では1.3個分ほどです。NASAによると、およそ20年以内に消えてしまう可能性が示唆されています。
本当になくなってしまうと悲しいですね。

ガリレオが発見した4つの衛星

もう1つ木星で有名なのが、1610年にガリレオが見つけた4つの衛星です。

ガリレオ衛星 (出典:NASA)
ガリレオ衛星 (出典:NASA)

木星に近い順に(左から)「イオ」「エウロパ」「ガニメデ」「カリスト」という名前が付いています。中学校の理科で習ったと思いますが覚えていますか?
ガリレオお手製の低倍率望遠鏡でも見ることができたように、この4つは木星の衛星中でもひときわ大きくて明るく見えます。大きさは惑星である「水星」にも匹敵します。

ガリレオ衛星にはそれぞれ特徴があります。

イオ

イオの写真

一番内側の軌道を回っていて、多くの活火山(400個を超える)が存在し、太陽系内で地質学的に最も活発な天体です。表面は溶岩と硫黄・二酸化硫黄などの物質が堆積しています。

エウロパ

エウロパの写真

4大衛星の中では大きさが一番小さいです。「エウロパ」の表面は厚い氷に覆われていますが、その氷の下には海が存在していて、生命の存在に期待が寄せられています。

ガニメデ

ガニメデの写真

太陽系に存在する衛星の中で最大の大きさを誇り、「水星」よりも8%ほど大きいです。
唯一磁場を持つ衛星としても知られています。

カリスト

カリストの写真
(出典:Wikipedia)

「ガニメデ」に次いで大きい衛星で、太陽系の中では、土星の衛星「タイタン」に次ぐ3番目の大きさを誇ります。「カリスト」の表面は、数十億年に及ぶ小天体衝突の結果、多数のクレーターに覆われています。

ガニメデ、水星、カリストの大きさ (出典:NASA(一部画像を加工))
ガニメデ、水星、カリストの大きさ (出典:NASA(一部画像を加工))
ある日の衛星の動き(出典:アストロアーツ)
ある日の衛星の動き(出典:アストロアーツ)

望遠鏡で「木星」を観測すると、この4大衛星が日によって位置を変えているのが分かります。これは衛星の公転周期がそれぞれ「1.76日」「3.55日」「7.16日」「16.69日」と短いからです。
ちなみに木星の衛星は、2025年8月19日の時点で97個発見されていて、これは土星(274個)の次に多い数になります。

木星の衛星に生命の可能性

先ほども触れましたが、「エウロパ」は生命の存在の可能性を秘めています。
詳しくは、「Vol. 4 古くて新しい疑問 地球以外の生命体は見つかるのか?」の「エウロパ」の項を参照してください。

木星探査

木星探査は、現在まですべてのミッションをNASAが実行しています。
最初に木星を訪れた探査機は、1973年の「パイオニア10号」で、その2カ月後に「パイオニア11号」も到着しました。木星の最初の接近写真を撮影し、磁気圏と巨大な内部流体を発見しました。
次に木星を訪れたのは、1979年の「ボイジャー1号」と「ボイジャー2号」で、木星の衛星と環を観測し、「イオ」の火山活動や「エウロパ」表面の氷の存在を発見しました。
2000年の「カッシーニ」は、木星の大気を詳細に撮影しました。
「(探査機の)ガリレオ」は、1995年~2003年の間に木星を周回しながら、4つすべてのガリレオ衛星に接近し詳細な観測と発見をしました。
直近では、「ジュノー」が2016年に木星の軌道に乗り、木星の組成、重力場、磁場などを観測しています。

パイオニア(出典:Wikipedia)
パイオニア(出典:Wikipedia)
ガリレオ(出典:Wikipedia)
ガリレオ(出典:Wikipedia)
ジュノー(出典:Wikipedia)
ジュノー(出典:Wikipedia)

最新の木星探査

NASA以外で初めて、欧州宇宙機関(ESA)が主導するミッションである、「木星氷衛星探査計画:ガニメデ周回衛星」が進行中です。このミッションには日本も参加していて、現在、探査機「JUICE」が、2026年9月の地球フライバイ[#1]に向けて航行中です。その後、2029年に再度地球フライバイを行い、2031年に木星系に到着予定になっています。4つの衛星を観測し、生命存在の可能性を探ることと太陽系の起源の謎を解明するのが主な目的です。
衛星を打ち上げたのが2023年ですから、木星到着まで8年もかかるのですね。大変です!

JUICE(出典:JAXA)
JUICE(出典:JAXA)

地球を守ってくれている木星

実はこの木星ですが、陰ながら地球を守ってくれているのです。
どういうことなのかは、『Vol. 1 奇跡の星「地球」』の「奇跡8:巨大な外惑星の存在」の項を参照してください。

余談

天文学者の間では、「木星がもう少し質量を持っていれば、第2の太陽になっていた可能性がある」という説が長らく語られているのをご存じでしょうか。
木星の質量は、地球の318倍、直径は11倍ほどあります。
構成成分も主成分が水素とヘリウムで、恒星の材料とほぼ同じです。
残念ながら中心部での核融合反応を起こすには、木星の質量が約80倍必要でした。
ただ、太陽のような「主系列星[#2]」ではなく、小さく低温な恒星「赤色矮星[#2]」であれば、木星の半径があと30%ほど大きければなり得たとのことです。

2010年宇宙の旅:木星がルシファーに…
2010年宇宙の旅:木星がルシファーに…

「2010年宇宙の旅」を読まれた(映画を見た)方は思い出してください。
モノリスが増殖して、木星の質量を増加させたことで核融合が始まり、恒星(ルシファー)になりましたよね。

これになぞらえるなら、「サン・フレア」もドキュメント業界の太陽となるべく、日々努力を重ねています。

終わりに

さて、ここまで木星と木星の衛星、木星探査などについて書いてきましたが、2026年の年明けから5月くらいまでが木星の観望好期になります。
ぜひ、望遠鏡を使った観望会などを探して参加してみてくださいね。

2026年1月10日21時の木星の位置(出典:アストロアーツ)
2026年1月10日21時の木星の位置(出典:アストロアーツ)

<脚注>

#1 探査機(宇宙機)が他の天体の近くを通り過ぎる宇宙飛行であり、その天体の重力を利用して、他の天体へ向けて軌道を変更したり、加速したりすること。

フライバイの図解(出典:JAXA)
フライバイの図解(出典:JAXA)

#2 主系列星は、ヘルツシュプルング・ラッセル図(HR図)上で、左上(明るく高温)から右下(暗く低温)に延びる帯である主系列に位置する恒星。太陽は主系列星。
赤色矮星は、主系列星の中でも特に小さく低温な恒星。表面が低温で赤色に見えるためこう呼ばれている。

HR図:主系列星(太陽)と赤色矮星(出典:Wikipedia)
HR図:主系列星(太陽)と赤色矮星(出典:Wikipedia)

この記事は連載記事です。
Vol. 1 奇跡の星「地球」~地球はなぜ「奇跡の星」と呼ばれるのか~
Vol. 2 寒月の夜に読みたい 私たちの一番身近な星である「月」 ~様々な月の呼び方~
Vol. 3 ガリレオに見せてあげたい 美しい土星の環 ~15年周期で環が消失!?~
Vol. 4 古くて新しい疑問 地球以外の生命体は見つかるのか? ~最新の探査状況~
Vol. 5 9月8日の皆既月食の前に読んでおきたい 月食が起きる仕組み ~約3年ぶりの神秘的現象を楽しもう!~

この記事を書いた人

Kazz

サン・フレアには1998年入社
現在は、コーポレート・コミュニケーションズ BU在籍
「星空案内人」の資格を持っており、サン・フレア社員向けに「毎月の星空案内」「ISS(国際宇宙ステーション)観望情報」を配信したり、「非常階段踊り場観望会」「出張観望会」など開催したりしています。

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