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ゲームの世界観が正確に伝わる「和訳」とは?

目次

  1. ローカライズには「外国語訳」と「和訳」がある
  2. ゲームの和訳時に、押さえておきたいポイントは?
  3. ゲーム翻訳に不可欠な「ファミリアライズ」
  4. ただ翻訳するだけはNG

2022年の日本国内におけるゲーム市場は、約2兆円規模と言われています。同年の世界のゲーム市場は約22兆円であり、ゲームは常に人々の注目を集めるコンテンツとなっています。日本のゲームが世界中で人気がある一方で、海外発のゲームが日本で一大ブームとなることも増えてきました。このような状況の中で需要が高まっているのが、ゲームの「和訳」です。ローカライズは、タイトルがその国で受け入れられるか、そしてヒットにつながるか、という点において非常に重要な役割を果たしますが、特に「和訳」は日本語の特性上、難易度が高いと言われています。
そこで今回の記事では、ゲームローカライズにおける和訳に焦点を当て、外国語訳との違いや翻訳時の注意点、欠かせないポイントなどをご紹介します。

ローカライズには「外国語訳」と「和訳」がある

ゲームのローカライズを大まかに分けると、日本で制作された日本語のタイトルを海外の対象国向けにローカライズする際に「外国語訳」をおこなうケースと、海外で制作された外国語のタイトルを日本向けにローカライズする際に「和訳」をおこなうケースがあります。それぞれ注意が必要なポイントが異なるため、ここではその内容についてご説明します。

外国語訳の注意点

日本で制作されたゲームを外国向けに翻訳する際にまず大切なこととして、文法や訳語の正確性が挙げられます。その部分に少しでもミスがあると、ゲームをプレイした時に没頭できず、ユーザーの興味をそそることができません。さらにゲームのセリフやキャラクター、技や武器の名前など、そのタイトルの世界観は保ったまま、各国の言語で違和感なく、かつ魅力的な翻訳をする必要があります。また、こうしたローカライズ作業に加えて、対象国の文化や宗教、歴史的な背景に対応する「カルチャライズ」も必要になります。例えば、イスラム教の信仰がある国でゲームを販売する場合、禁止とされているお酒やギャンブルなどの描写を変更することなどがこれに当たります。また国によっては規制もあるので、その点も事前に確認しておく必要があるでしょう。

和訳の注意点

一方和訳に関しては、上記のような内容にも考慮しつつ、日本語そのものの特徴をしっかり踏まえた上で翻訳をする必要があります。例えば日本語は、特に会話の中において、主語を抜いても成り立つという特徴があります。例として、以下の文章には主語が存在していません。
・「明日の予定?遊園地に行くんだ」
・「怖い映画は苦手です」
・「先週、一緒に食べたお寿司が美味しかった」
上記はすべて「誰が」という説明がありませんが、日本語として成り立っています。むしろ「私が」「あなたと」などをセリフや地の文章に逐一入れてしまうと、くどい言い回しのように感じてしまうこともあります。
また日本語は、語尾によって大きく印象が変わる言語です。例えば、「やれ」と断定した形ではっきり伝えるよりも、「やろうね」など、相手の同意を求めるような形の方が柔らかく、親しみやすい印象を受けるでしょう。さらに、「私はいいけど、みんなはダメなのかな」のように、相手に最終的な判断を任せるような表現が多いことも、日本語ならではの特徴です。このように、日本語の独特な性質を押さえつつ、元のゲームの世界観が壊れないようにしながら翻訳することが求められます。

ゲームの和訳時に、押さえておきたいポイントは?

では、実際にゲームを和訳する際には、具体的にどのようなポイントを押さえておくべきなのでしょうか。まず、日本語は、主にフィクションで使われる「役割語」があります。例えば、語尾に「~だわ」「~じゃ」「~ですのよ」をつけるなど、人物像が浮かび上がる言葉の表現がこれに当たります。口調はキャラクターのイメージを決定づける重要な部分であるため、キャラクターの性格や年齢などの背景を把握して翻訳をしないと、セリフに違和感が生じてしまうでしょう。また、英文ではよく「he」や「she」といった代名詞が用いられます。これを日本語にそのまま訳して「彼」や「彼女」とするよりも、「社長」「先輩」のように、肩書で表現したほうが分かりやすいケースも多くあるため、意識しておくことが必要です。さらに、キャラクターの一人称(「私」「あたし」)や他キャラクターの呼び方(あだ名で呼ぶ、様をつける、など)を翻訳する際にも、キャラクターの設定や相関図を深く理解し、適切な訳文を生み出すことが求められます。

ゲーム翻訳に不可欠な「ファミリアライズ」

「ファミリアライズ」とは、ゲームの翻訳前にタイトルのことを深く理解するための作業のことを指します。例えば実際のゲームをプレイすることや、キャラクターの設定・性格・相関図を読み込むこと、ゲームの資料をしっかりと確認して世界観やストーリーを掴んでおくなどが挙げられます。原作のマンガやアニメがある場合には、それらにも目を通します。

なぜファミリアライズが必要なの?

ファミリアライズをおこなうことによって、タイトルに対する理解度が格段に向上します。その結果、翻訳の質もよくなり、ユーザーが没頭できるゲームの世界観を演出することができます。また、ストーリーやキャラクターの前知識があることで、その特徴を考慮しながら翻訳を進めることができます。特に和訳のポイントとなる「役割語」や「呼称」を適切に翻訳するために、ファミリアライズは非常に重要な要素なのです。ストーリーやキャラクターは、ユーザーの評価に直結する大切な要素であるため、正しい和訳によってその魅力を正確に伝えることで、タイトルの印象もより良いものになるでしょう。

ただ翻訳するだけはNG

作品の内容をあまり理解しないまま翻訳を進めたり、日本語の特徴を無視して翻訳したりすると、ゲームそのものの良さがユーザーに伝わりづらくなります。せっかくのキャラクターやストーリーの魅力も半減してしまうため、言語の特性も踏まえながら、できるだけ内容や世界観を忠実に表現できるようにしておくことが大切です。

海外タイトルの日本向けローカライズはサン・フレアへ!

ゲームのローカライズで一番大切なのは、「ゲームの世界観を壊さず、正確に伝える」ことです。海外タイトルの日本向けローカライズでそれを実現するためには、しっかりと事前のファミリアライズでゲームコンテンツの内容や世界観、相関図、仕様等を理解した上で、日本語の特徴を押さえた和訳が必要になります。長年、国内向けローカライズに携わってきたサン・フレアは、常に丁寧なファミリアライズをおこない、ゲームの世界観を保った翻訳を提供しています。ローカライズを検討中の方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。豊富な経験とノウハウをもとに、お客様のニーズにお応えいたします。

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